歴史文化学 東洋史学専修

吉本 道雅 教授
中国古代史
中砂 明徳 教授
中国中世・近世史
箱田 恵子 教授
中国近代史

東洋史学は、中国および東アジア諸地域(モンゴル、マンチュリア、朝鮮、東トルキスタン、チベット、東南アジア)の歴史を対象とします。専任教員のほか、人間・環境学研究科・人文科学研究所の教員が、豊富多彩な授業を担当しています。

歴史学研究には正確な史料読解力が必要です。東洋史では、とくに漢文史籍の演習・講読に力を入れ、3回生になるとその予習に追われることになります。朝鮮史や内陸アジア史さらには東南アジア史の研究にも漢文は必須です。

また、現代中国語は中国の論文を読むためだけでなく、古典文の理解にも必須ですので、機会を見つけて学習しておいて下さい。中国史以外の研究には、朝鮮語・モンゴル語・満州語・チベット語・ベトナム語など(一部は学部で開講)を学ばねばなりません。京都大学は、文学研究科図書館を始め、文学研究科附属文化遺産学・人文知連携センター羽田記念館や人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センターなど、東洋史関係文献の世界的な蔵書をもち、学習には絶好の環境です。院生や研究生・研修員の研究テーマは、東洋史学のほとんど全領域をおおい、自主的な研究会が学部生を交えて行われています。院生など研究室の先輩は、学部生の日常の勉学におけるよき指導者です。

研究室には、全国学会である東洋史研究会の事務局が置かれています。毎年1回大会を開き、学術誌『東洋史研究』(季刊)を発行しています。同誌は国際的にも声価が高く、若い研究者の登龍門でもあります。

最近の卒業論文

  • ・宣徳期における明朝・兀良哈三衛の関係とその変遷
  • ・龔廷賢『寿世保元』「薬性歌括」に関する考察
  • ・明末漳州の治安と械闘
  • ・清代初期の筆帖式について――天聡年間を中心に

最近の修士論文

  • ・周始祖后稷の説話の変化――先秦伝世文献を中心に
  • ・秦末漢初における「少年」に対する考察
  • ・前漢末期から後漢初期における五徳終始説の政治利用
  • ・南宋理宗親政後における政治闘争――史嵩之の起復問題を手掛かりに
  • ・明代における浙江市舶司の廃止――籌海論争を中心に
  • ・清代中期における銭票の展開
  • ・清代重慶における租佃関係訴訟の分析
  • ・清末における女性知識人にみる言行の諸相――在日期の何震と『天義』を中心に
  • ・清末におけるミリタリズム思想の公式化の経緯について――教育宗旨の策定をめぐる考察

最近の博士論文

  • ・『史記』戦国史像の文献学的研究――戦国中期列伝を中心に
  • ・高麗前期仏教政治史研究

授業風景

『東洋史研究』

文学部受験生向けメッセージ

私たちは普段から「東洋」という言葉をよく耳にします。しかしどこからどこまでが東洋なのかということを考えてみますと、事はそう簡単ではありません。日本は東洋でしょうか? 文学部には東洋史とは別に日本史という専修があります。「西洋」以外はすべて東洋でしょうか? アフリカや南米は東洋とはいえません。「東洋」というのはこのように甚だ曖昧な概念です。

では我々は何を研究対象としているかといいますと、東アジア各国と諸民族・地域の歴史です。本専修ではなかでも中国史研究を得意とし、主として用いるのは漢文史料ですから、学部生の間は漢文の読解力をつける訓練を受けることになります。もちろん、研究対象によっては朝鮮語、モンゴル語、チベット語なども学ぶ必要があります。現在、教員は5名いますが、さらに総合人間学部、人文科学研究所の諸先生の協力を得て、豊富多彩な授業が行われています。東洋史関係の書籍も文学部、人文科学研究所に数多く収蔵されており、京都大学文学部は東洋史を学ぶ上で最高の環境にあるといえます。

東洋史学専修ウェブサイト

大学院研究科受験生向けメッセージ

東洋史学大講座は、東洋史学専修と西南アジア史学専修から構成される。そのうち、東洋史学専修の対象とする分野は、おもに中国・朝鮮・内陸アジア・東南アジアなどのアジア東方諸地域と、そこで展開する歴史現象の全般である。もちろん、東西交流史など、この枠を超えた分野も含まれる。現任のスタッフのほか、人文科学研究所から協力講座としての教員が加わり、さらに学内各部局や学外からの非常勤講師の協力もえて、多彩な専門教育が行われる。

広く歴史学は、おもに文献と文物(遺物・遺跡など)の二種の史料にもとづく。東洋史学では、従来から、その両方に依拠しつつも、より原典の文献史料に力点を置いた研究・教育を旨としている。対象とする地域・時間の長大さから、当然、扱う原典文献も多言語にわたるが、なかでもアジア東方で最大の文字史料群である漢語文献が中心となる。江戸期以来の「漢学」の伝統に、近代歴史学の方法論を合体させた学問体系には、巨大な蓄積と技術があり、その修得が、まず求められる。これに加えて、朝鮮語・モンゴル語・満州語・チベット語などの諸語文献についても、学習の機会が開かれている。徹底した文献学の基礎に立った原典史料からの歴史把握こそ、東洋史学の最大の特色である。

中国史・漢語文献も含めて、あくまで外国史・外国語であるから、それぞれの言語そのものについても修得を心掛けてほしい。諸外国からの留学生も多く、研究室内での国際交流も活発である。さらに、日本人大学院生については、みずからすすんで留学・現地滞在などをはかり、ボーダーレスとなった国際学界のなかで自立できる能力の養成が望まれる。また、博士後期課程に在籍するものは、日本人・外国人を問わず、学術誌などへの論文発表をはかるとともに、それらを踏まえた博士論文の作成をめざすよう努めてほしい。

京都大学は、東洋史学を学ぶのに最も恵まれた環境にある。文学部図書館をはじめ、人文科学研究所内に設置された漢字情報研究センターや文学部の附属施設であるユーラシア文化研究センター(羽田記念館)などが、世界でもまれな東洋史学関係文献の一大宝庫を形作っている。また、専門研究者が、さまざまな方面にわたって、厚い層を形成している。教室内でも、研修員・大学院生によるテーマごとの研究会が活発に行われている。なお、研究室には全国学会である東洋史研究会の事務局が置かれ、学術誌『東洋史研究』(季刊)を発刊するとともに、毎年1回、大会を催している。

東洋史学専修ウェブサイト

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