行動文化学 社会学専修

太郎丸 博 教授
社会階層論、数理社会学
岸 政彦 教授
生活史、質的調査方法論
田中 紀行 准教授
社会学史、社会学理論
ステファン・ハイム 准教授
経済社会学、産業社会学、組織論
丸山 里美 准教授
ジェンダー研究、福祉社会学
安里 和晃 准教授(兼)
移民研究、アジア研究、社会福祉論

社会学とはいったいどのような学問でしょうか。自分の心の懊悩から国際紛争まで、あるいは、社会秩序の始原から現代世界のポピュラーカルチャーや流行まで、私たちの目の前や頭のなかで展開するすべての現象を、個々人に外在する「社会」という視点で理解し説明しようとする挑戦的な学問です。

京都大学の社会学教室の特徴は、社会の生成と展開について徹底した思索を行う理論的方向性と、社会調査に基づいて現実を多面的に解析する実証的方向性を両立させる社会学にあります。とくに現実の社会に関与し働きかける新しいスタイルの社会学・社会調査を実践・実験することによって、この特徴をさらに発展させようとしています。

2008年からは、全大学の社会学分野のなかで2か所選抜された教育・研究拠点(GCOE)として、大学院教育における国際化を推進し、欧米・アジアの33のパートナー拠点とのあいだでグローバルネットワークが構築できました。この成果を軸に世界を視野に入れた授業やセミナーが展開されています。

また毎年、京都大学アジア研究教育ユニット(KUASU)と連携して、国際連携大学の大学院生との研究発表の場として「次世代グローバルワークショップ」、ソウル国立大学、国立台湾大学の学部生・大学院生との教育・学術的交流の機会として「東アジアワークショップ」を開催しています。

最近の卒業論文

  • ・ドイツのジェンダー文化と育児支援政策
  • ・東京五輪の観戦が日本におけるナショナリズム意識に与えた影響
  • ・二次元アイドルファン女性のまなざし
  • ・体育会学生の就職活動に関する社会学的考察
  • ・親から子へのソーシャル・キャピタル継承可能性の分析

最近の修士論文

  • ・ゲイ雑誌からみる男性同性愛者の身体の変遷
  • ・「児童虐待」の社会学的分析
  • ・非正規雇用と性別職域分離が既婚女性の社会経済的地位に及ぼす影響

最近の博士論文

  • ・Legitimising Inequality: Attitudes Towards Income Inequality in Comparative Perspective
  • ・中国農村部の福祉改革と住民の福祉意識
  • ・ポスト多文化主義時代の共存――現代カナダにおける先住民‐非先住民の関係再生の空間へ/から
  • ・越境する親密性――東アジアの紹介型国際結婚とグローバルな家族
  • ・アフリカ・アジア的視点によるレイシズム研究の可能性――南アフリカにおけるアジア系住民の位置の変遷に関する社会学的研究

社会学調査実習(三重県東紀州地域)

新聞紙面に掲載された取材記事

授業で行った調査報告書

文学部受験生向けメッセージ

テレビドラマやコマーシャル、映画などを観ていると、こういうところが今の世相をうまく表現しているな、などと知らず知らず分析してしまう。Aさんといるときの自分と、Bさんといるときの自分とは、違うリアリティ(現実世界)を生きている別の自分のようだと感じる。知らない土地に出かけて、自分の知らなかったような生き方をしている人に出会うとわくわくする。戦争とは何か、グローバリズムの帰結は、など世界の行く末を考えるための指針が欲しい。

⋯⋯そんな人はおそらく社会学の適性があります。すぐに役に立つ法律や経済学だけでは物足りない。友人や家族などの身近な人間関係から、学校、会社、地域、そして国家や世界へと広がっていく「社会」、そしてその中に存在する自分自身を見つめ直してみたい。そういう人のための学問が、社会学です。

社会学調査実習(三重県東紀州地域)

開講科目としては、社会学全般を講じる社会学講義や、社会理論、社会学方法論などの基礎科目に加え、それぞれの教員が今まさに取り組んでいるテーマをリアルタイムで語る各種の特殊講義を取り揃えているのが京大社会学の特徴です。また社会の現実を自分なりに分析する方法を身につける社会調査法を重視しており、世論調査などに使われる統計的方法を学ぶ一方で、漁村や山村などに出かけて地元の方たちのお話をうかがい地域社会をまるごと理解しようとする調査実習も行っています。卒業生は新聞社、出版社、地方自治体、各種の一般企業、および大学などで活躍しています。

社会学専修ウェブサイト

大学院研究科受験生向けメッセージ

社会学専修は社会学、社会人間学、比較文化行動学および比較社会学の各分野から構成されている。大学院教育は以上4分野で実施され、相互に緊密に結びついて社会学専修のカリキュラムを構成している。

本専修が伝統的に重視してきたのは社会学理論の厳密な読解である。近代市民社会の成立と共に生まれた社会学の学説史的検討と諸社会理論の摂取は、本専修の伝統であり土台である。その一方で今日、われわれをとりまく社会は大きく変わろうとしている。社会制度や構造さらには価値観、社会意識にいたる現実の変化をとらえ分析する社会学が求められている。こうした状況の中で、本専修が近年特に力を入れているのが、具体的なデータに基づく社会と社会生活の分析である。社会学分野では歴史資料を駆使した近世・近代社会のダイナミクスの分析、社会人間学分野ではカルチュラル・スタディーズの手法を用いた現代社会の解明、比較文化行動学分野においてはフィールドワークやディープインタビューの手法を取り入れた実証研究、そして比較社会学分野では社会問題の構築主義的研究および計量社会学にもとづく社会調査研究を特色としている。授業は文学部だけでなく、京都大学で社会学を研究する他学部、研究所に所属する多数の教員の協力によっても行われる。また、毎年他大学からも多彩な非常勤講師を招いておこなわれる。年度によってテーマや講師の顔ぶれは交替するが、ジェンダー・セクシュアリティ、地域社会、スポーツ、福祉、宗教、社会調査法などの個別領域の研究が提供されている。

社会学専修を希望する学生には、海外の文献を読みこなすのに十分な語学力とそれを厳密に理解し分析する理論的能力が要求される。さらに具体的な問題意識をもって文献を渉猟し経験的な調査を自ら企画・実行する能力も期待される。社会学的な考え方を学びながらあくまでも具体的なテーマに知的好奇心を失わない学生を歓迎する。

社会学専修ウェブサイト

前のページに戻る