文献文化学専攻

インド古典学専修

往来の「インド哲学史」と「サンスクリット語学・文学」を統合した専修。インド古典文化の総合的理解に向け、哲学、文学、語学といった枠組みを越えて、文 献実証的方法を基礎とした研究と教育を行っている。

横地 優子 教授 サンスクリット文学
赤松 明彦 教授 インド哲学
D.アー チャールヤ 特任教授(JGP) サンスクリット文献学、インド思想史
A.クレバノフ 特定外国語担当講師 サンスクリット文献学

文学部受験生向けメッセージ

東洋と西洋の接点に位置するインドでは、他の地域には見られない独特の文化が古くから形成されてきました。この文化は、思想、文学、芸術、法典や歴史史料、科学・技術等、極めて広範囲にわたっており、それらの文献の古いものは大半がサンスクリットと呼ばれる言語で書かれています。

サンスクリット文化は、インドを中心とする南アジア地域はもちろんのこと、仏教やヒンドゥー教の伝播とともに、東アジア、東南アジアまで広まって、アジア基層文化の一つとなっています。

また、サンスクリット語は西洋とも深い関係があります。英語、フランス語、スペイン語など、現在、欧米やラテン・アメリカで10億以上の人々が話している言語はインド・ヨーロッパ語族と呼ばれていますが、サンスクリット語もこのグループに属しています。しかも、このグループの中でももっとも古く、かつ、文法的に最も整った言語として、取り分け重要な位置を占めています。

このように、サンスクリットは歴史的に、欧米の言語やアジアの文化と密接な関係をもっています。「サンスクリット」というと何か極めて特殊な研究対象と思われがちですが、それは間違っています。サンスクリットほど、欧米の言語、アジアの文化の双方に深く関わっている言語は他にありません。サンスクリットを勉強することは、人類が築き上げてきた豊かな知的世界に触れることに他なりません。それはまた、新たな知的発見と感動の旅でもあります。

大学院研究科受験生向けメッセージ

教授 横地 優子 古典サンスクリツト文学、プラーナ文献
教授 赤松 明彦 インド哲学
特任教授(JGP) D.アー チャールヤ サンスクリット文献学、インド思想史
特定外国語担当講師 A.クレバノフ サンスクリット文献学

本専修は、従来あった「インド哲学史」専修と「サンスクリット語学サンスクリット文学」専修を統合して、2004年度より開設されたものである。両専修は、それぞれ京都大学における単独の講座(「印哲」と「梵文」)として、すでに100年近い歴史をもつものであったが、サンスクリット文献学・インド学を共通のディシプリンとするものであり、学問としてより強固な連携をはかるために統合されたものである。これにより、サンスクリット研究の世界的拠点としての役割が、一層強化されることが期待される。

サンスクリットは、厳密には紀元前数世紀に規模化された古代インド・アーリア語を意味するが、本専修では、この言語で著された文献と並んで、時代的にサンスクリットに専攻するヴェーダ語、サンスクリットの俗語形である「中期インド」諸語、一部の仏教文献に見られる仏教梵語、叙事詩に特有の叙事詩サンスクリットなど、古代のインド・アーリア系諸言語で編纂された膨大な量の文献を研究の対象としている。また、サンスクリット文献と密接な関係を持つ古代イラン語文献やタミル語の古典文献も扱われることがある。本専修の役割は、過去のサンスクリット学の研究成果を継承しつつ、古代インドの言語、文学、哲学、宗教、文化史等の研究を行い、その成果を発展させつつ、次世代に引き継ぐことにある。

専修主任の横地は、古典サンスクリット文学と、ヒンドゥー教神話を多く含むプラーナ文献の研究を専門としており、とりわけヒンドゥー教女神神話・信仰の形成史に詳しい。近年は初期シヴァ教史に取り組んでいる。准教授のアーチャールヤは、サンスクリット写本の扱いに精通しており、サンスクリット文献全般の校訂研究を手がけている。特にヴェーダーンタ等の思想史、シヴァ教・ヴィシュヌ教の教理・儀礼に詳しい。特定教授のヴァースデーヴァは古典サンスクリット・プラークリット文学とその理論(詩論等)、およびシヴァ教タントラ文献(特に中世ヨーガ)を専門とする。この他、人文研の藤井教授が、ヴェーダ文献の講読、ヴェーダ祭式に関する講義を行っている。また、毎年学外から数名の講師を招き、リグヴェーダ、中期インド・アーリア語、近現代インド諸語、伝統医学、哲学諸派などを扱う授業を開講している。

インド古典学はその範囲の広さ、文献の膨大さに比べ、インド国内を除けば、世界的にも研究者数が少ない分野であり、そのため特に近年では、国際的な研究協力、共同研究が日常となっている。本専修では授業のほぼ半分を英語で行い、特任教授による英語論文作成指導の授業を開講するなど、そのような現状のもとで活躍できる研究者の育成に力を注いでいる。