行動文化学 心理学専修

蘆田 宏 教授
視覚科学
黒島 妃香 教授
比較認知科学
森口 佑介 准教授
発達認知神経科学
ダンカン・A・ウィルソン 講師
比較心理学、霊長類学

心理学専修は、さまざまな心の働きとそれを実現する脳の働きを、実験や観察を通じて科学的に明らかにしようとしています。心の働きは直接見ることができないので、行動を手がかりにして分析をします。

本専修では、学部教育も大学院教育も、教員全員による集団指導体制でおこなわれています。専修が取り組んでいる研究課題は多岐にわたります。個体が示す知性や感情の働き及びそれらの進化と発達を、成人、乳幼児、及びヒト以外の多様な動物を対象として明らかにしようとする研究、社会性を支える自己の認知や他者理解の機能とメカニズムを、行動実験や脳画像法を用いて解明しようとする研究、基礎的な環境の知覚や認知、記憶などの働きを、精密な行動実験を通じて分析するとともに、その脳内基盤をも明らかにしようとする研究などです。本専修では、学生や大学院生が、広範な知識に触れながら自身の興味を延ばし、着実な科学的事実を積み上げる技術と、こころの働きに関する深く広い知識を学べるようになっています。

本専修の出身者は、研究教育職のほか、放送局、新聞社、出版社、金融機関、製造業など、多方面で活躍しています。公認心理師のための大学科目修得には、他学部科目の履修が必要です。なお、文学研究科では公認心理師のための大学院科目は修得できません。

また本専修は、教育学部及び総合人間学部等の心理学関連講座とともに共通の入門科目を持つほか、広範な単位互換をおこなっています。さらに、京都大学「こころの科学ユニット」の構成講座の1つにもなっています。

最近の卒業論文

  • ・日本語話者の青色カテゴリカル知覚
  • ・自子の画像の閲覧が母親の視覚情報処理に及ぼす影響
  • ・ヒトの情動的対話がイヌの情動反応に及ぼす影響

最近の修士論文

  • ・連続フラッシュ抑制下で文字手がかりがターゲットの知覚に与える影響
  • ・The Effect of Virtual Environments on Creativity: Examining the Role of Changes in Emotional State
  • ・伴侶動物における音楽への選好――協和音・不協和音の違いに着目して

最近の博士論文

  • ・視覚探索における共同記憶効果とその発達に関する検討
  • ・バーチャルリアリティ環境における空間認識と姿勢制御メカニズムの検討
  • ・伴侶動物における社会的認知能力の比較研究

MRIスキャナによる機能的脳画像の取得(こころの未来研究センター連携MRI施設)

VRゴーグルを使った実験の様子

赤ちゃんの認知機能を調べる実験の様子

マーモセットの表情解析画像

伴侶動物の実験

文学部受験生向けメッセージ

心理学ではどんなことやるの?という疑問をおもちの受験生の皆さんも多いと思います。高校には残念ながら心理学の科目がありません。したがって、皆さんは大学ではじめて心理学の授業に出会うことになります。

心理学は心の学問です。心は皆さんにとっていちばん身近でなじみのある存在でしょう。しかし、身近だからよく知っているとは限りません。まだ知らない自分の心の発見をしてみたいと思ったら心理学を学んでみてください。新しい自分の発見があるかもしれません。

そもそも、心とは何でしょうか? わたしたちは毎日、いろいろなものを見たり聞いたり感じたりして生活しています。考えたり記憶したりもします。他者の心を推測したりもします。これらはすべて心のはたらきです。

授業

このような心のはたらきを科学的に探求する基礎的な心理学を実験心理学といいます。実験心理学では仮説をたてて実験や調査をおこないます。

文学部の心理学は実験心理学が中心で、カウンセリングなどを含む臨床心理学は開講しておりませんが、その基礎となる心や意識のはたらきについて教育と研究をおこなっています。心理学教室で現在どのような授業や研究が行われているかは心理学専修ウェブサイトをごらんください。

心理学専修ウェブサイト

大学院研究科受験生向けメッセージ

人の心の働きについては、古来さまざまな視点から研究されてきているが、心理学は行動観察を基礎に心の働きを実証的に研究する科学である。心理学は広範な基礎・応用分野をもつが、本専修は認知を中心とする基礎的領域を扱っている。各分野は相互に密接な連携をもちながら大学院教育および研究を進めている。修士課程は心理学の基礎的な分野について専門的理解を進め、博士後期課程ではさらに専門的研究を深め博士論文の作成をめざす。大学院生は学際的視野から神経科学、生物科学や言語学など関連分野にも幅広い関心をもち、なるべく早く研究テーマを決めてそれぞれの問題に深く切り込むことが求められる。

現在の教員が取り組んでいる研究テーマは多岐にわたるが、個体が示す知性や感情の働き及びそれらの進化と発達を、成人、乳幼児、及びヒト以外の多様な動物を対象として、行動的分析および認知神経科学的手法により明らかにしようとする研究、基礎的な環境の知覚と行動の制御を、精密な行動実験を通じて分析するとともにその脳内基盤を明らかにしようとする研究などである。各教員は、それぞれ特色のある研究活動を国際的に展開している。

本専修教員はいずれも京都大学「こころの科学ユニット」に参加している。また、本研究室では、学術誌「心理学評論」の編集に携っている。なお、本専修では、公認心理師受験資格のために必要な大学院修士課程レベルの科目は提供されない。

心理学専修ウェブサイト

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