西洋史読書会について

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西洋史読書会は、まずは京都大学文学部西洋史学専修(旧史学科西洋史学専攻)の卒業生と大学院入学者を会員とする同窓会的組織ですが、同時に全国の西洋史学研究者が自由に参加できる学会でもあります。「読書会」という名称は、明治時代の末年、外国語の書物を読み議論するために京大西洋史の教授と学生が組織した会合に由来しています。しかし、この会合は、第1次世界大戦頃に一時中断され、大正8年(1919年)に再興されてから、今日に至るまで一貫して研究者がその成果を口頭発表する場として開かれてきました。現在では、この集まりを西洋史読書会の「大会」とし、毎年11月3日祝日に、西洋史研究の成果を古代史から現代史に至るまで幅広く口頭報告する学会として開催しています。また、毎年6月頃に「例会」と称して研究書の合評会も開いております。大会の方は昨年11月の会合で第71回を数え、わが国で最も伝統ある歴史の学会のひとつといってよいでしょう。

現在の西洋史読書会大会では、おおむね10前後の研究報告とそれに対する質疑がおこなわれ、夕刻から懇親会を開いています。会場も、大学近くの京大会館での開催が定着しました。毎年全国から130名前後の参加者を得ている大きな会合ですが、研究報告会も懇親会も、そして当日配布する研究報告要旨集や冊子『読書会だより』の作成に至るまで、西洋史研究室の大学院生からなる実行委員が周到に準備する手作り学会であります。研究報告は、読書会会員である京都大学西洋史研究室出身の研究者によってなされるほか、早稲田大学と広島大学、そして昭和42年(1967年)に西洋史学専攻から分かれて発足した現在の現代史学専修からも、毎年各1名が出て報告をおこなうことが慣例となっています。この大会はまた、京都大学西洋史研究室の博士後期課程大学院生にとっては大切な学界デビューの場でもありますが、大会全体の報告者の年齢は博士課程大学院生から学界の大ベテランまでまんべんなく及んでおります。形式、内容とも実に充実した会合で、最近では西洋史学を専攻する学部学生の来聴者も増えてきました。西洋史に関心がおありの方はぜひ御参加下さい。

西洋史読書会では、毎年エッセイを中心にした会員向けの冊子『読書会だより』を発行していますが、第50回(1982年)と第70回(2002年)の大会の折には、特別のシンポジウムを開催するとともに、記念誌を作成し、広く配布いたしました。第50回の大会時の記念誌は『読書会大会五十年の歩み』と題し、西洋史読書会の歴史を紹介し、すべての大会報告題目や明治43年以来の京大西洋史卒業論文題目を掲載していますが、その具体的な内容は、書名となっている読書会の歴史を越えて、日本における西洋史学の発達史ともなっています。一方、第70回大会時のそれは『二十一世紀の西洋史研究のために』と題したエッセイ集で、21世紀初頭の学問や大学の激動時に西洋史学研究に寄せる想いを14名の会員にまとめていただいた冊子です。これらの記念誌は京都大学の文学部図書室や西洋史研究室に設置されていますので、御一読いただければ幸いです。 (南川高志)

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