イタリア語学イタリア文学専修

西洋文献文化学 イタリア語学イタリア文学専修

村瀬 有司 准教授
トルクァート・タッソと16世紀イタリア文学
イダ・ドゥレット 特定准教授
レオパルディ、モンターレを中心とする近現代イタリア詩

ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョを始めとする13・14世紀の詩人から、マンゾーニやカルヴィーノ、ウンベルト・エーコら近現代の作家・文人まで、イタリア文学は長い歴史を擁しています。西洋の文学史に名を残す詩人・作家、作品がそこには多数存在しています。一方で、イタリアは明治以降の日本がモデルとした「西洋」のなかには必ずしも含まれていなかったために、西洋文化における影響の大きさにもかかわらず、イタリア文学・イタリア文化を研究できる国内の大学は少数にとどまっています。重要でありながら、翻訳されていない作品も少なくありません。

本専修は、このイタリア語で書かれた作品を学べる数少ない場の一つです。日本で最初に設立されたイタリア語学・イタリア文学講座として長い歴史がありますが、学生たちはそのような伝統を意識することなく自由に研究にいそしんでいます。詩や小説といった狭義の文学作品にとどまらず、マキァヴェッリの政治論、映画のシナリオ、オペラの台本やポップ音楽の歌詞など、多様な分野から研究テーマを見つけています。イタリア語のテクスト全般が研究対象となっています。近年は、京都や関西圏の他学生との協同でイタリア学を学ぶ学生間の交流や、イタリア人研究者を招いての講演会も盛んに行われています。

自由な研究のために専修の授業で重視しているのは、テクストを自分で読み解く力の養成です。基本的に少人数の授業であるため、イタリア語の文章に慣れていない方も効率よく読解力を身につけることができるでしょう。

イタリアでは古来、様々な分野で多くの天才が活躍してきました。このような古今の詩人、芸術家、政治家、科学者、思想家たちを研究すべく、他学部からの編入生として、あるいは学士入学生として本専修に入る方も珍しくありません。冒頭に述べたとおり、日本ではイタリア語のテクストに取り組む研究者がまだまだ少ないので、本専修は常に新しい人材をもとめています。

・イタリア語学イタリア文学専修ウェブサイト
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最近の卒業論文

  • ・パゾリーニの『テオレマ』について
  • ・歌劇『イリス』における人形劇の効果
  • ・イ・プーの楽曲における「歴史」描写
  • ・バジーレ『ペンタメローネ』における格言の用法
  • ・ブッツァーティの短篇小説

最近の修士論文

  • ・Luigi Illicaのオペラ台本
  • ・ヴィーコ『新しい学』の市民神学
  • ・『マンドラゴラ』と笑い
  • ・ロレンツォ・デ・メディチの『至高喜について』

最近の博士論文

  • ・天国と政治――ダンテ『帝政論』と『神曲』〈天国篇〉
  • ・史実と虚構の融合と分離――マンゾーニの歴史小説I promessi sposiにおける語りの技法

授業風景

研究室風景

文学部受験生向けメッセージ

イタリアは、中世からルネサンス、近現代に至るまで、芸術、文学、科学、思想などさまざまな分野で多彩な人材を輩出してきました。ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョといった中世の詩人も、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、カラヴァッジョらルネサンスの芸術家も、天文学者のガリレオも、オペラで有名なヴェルディ、プッチーニ、さらには映画監督のデ・シーカやヴィスコンティも、ファッション業界に名を残すジョルジョ・アルマーニやサルヴァトーレ・フェラガモ、ロックグループのマネスキンもみなイタリア人です。

京都大学文学部のイタリア語学・イタリア文学専修は、このイタリア文化を専門に研究できる日本で数少ない場の一つです。専修の学生は、主に文学作品を研究していますが、マキァヴェッリの政治論や、イタリア映画の台本、オペラやポップ音楽の歌詞をテーマに卒業論文を書き上げる方もいます。南谷先生自分なりの関心をもって研究対象を見つけ出しています。

挿し絵入り揺籃期印刷本(ペトラルカ詩集)

イタリア文化にアプローチするには、イタリア語で書かれた資料やテクストを自分で読解できることが重要です。イタリア語を学ぶということが研究への第一歩になります。さいわいなことに、イタリア語は多くの日本人にとって非常に発音がしやすい言葉です。語学の最初の一歩、発音の習得でつまずくことはまずありません。「ドマーニ」(明日)「ウーノ」(一つ)「パルコ」(公園)をはじめとする多数のイタリア語が、車や化粧品や商業施設の名称として日常生活に入り込んでいることからもうかがえるように、イタリア語はわたしたちにとって相性のいい言語の一つと言えます。

イタリア語とイタリア文化は、皆さんにとってなじみのない分野かもしれませんが、だからこそ、希少価値があると言えます。人と違ったことをしたい方はぜひイタリア語に目を向けてみてください。若い方々が、イタリア文化に少しでも関心を寄せてくれれば、こんなにうれしいことはありません。

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大学院研究科受験生向けメッセージ

イタリア文学は、ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョの三大詩人を筆頭に、アリオストやタッソらルネサンスの詩人たち、マキァヴェッリやブルーノをはじめとする個性的な思想家、さらにはゴルドーニやレオパルディやマンゾーニ、あるいはピランデッロやカルヴィーノやウンベルト・エーコといった近現代の作家・詩人・戯曲家まで、多彩な逸材を擁しています。

一方、イタリア語学イタリア文学を専門に学ぶことのできる国内の大学は限られています。研究の裾野が狭いために、重要でありながらいまだ日本に紹介されていない詩人・作家も多数存在します。このような現状のなか、当専修は、国内の数少ない専門的な研究機関としてイタリア語で書かれたテクストを学ぶ貴重な場を提供しています。

専修の授業では、ダンテ、ペトラルカからレオパルディ、モンターレ、カルヴィーノまで、多様な詩人・作家を取り上げています。また学内・学外の先生方の協力をえて、幅広い分野からトピックを提供することに努めています。若手研究者主催の読書会・研究発表も、盛んに行われています。

研究に当たって何より重要となるのは、テクストの正確な読解です。大学院においてもまずイタリア語の読解力を十分に培ったうえで、各自の研究分野にアプローチすることになります。

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