2018年度 講義題目

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2018年度 講義題目

開講期・時限 講師 種別 題目・概要
前期火1 杉村靖彦 講義 宗教学A(講義)


[授業の概要・目的]

宗教と哲学は、人間存在の根本に関わる問いを共有しながらも、歴史的に緊張をはらんだ複雑な関係を結んできた。その全体を視野に入れて思索しようとする宗教哲学という営みは、多面的な姿ととりながら歴史的に進展し、現代でも大きな思想的可能性を秘めている。この授業では、その今日までの変遷を通時的に追うことによって、宗教哲学という複雑な構成体について、受講者が一通りの見取図を得られるようにすることを目的とする。

[授業計画と内容]

以下のテーマについて授業を行っていく(細部は変更の可能性あり)。
1.宗教と哲学:根本の問いから考える。
2.ミュートスからロゴスへ:哲学の誕生
3.ソクラテス、プラトン、アリストテレス:哲学における神
4.ユダヤ教、キリスト教、イスラム教:啓示と信仰の神
5.ヘブライズムとヘレニズムの出会い:キリスト教神学の成立
6.中世における神学と哲学:スコラ哲学と神秘主義
7.近世形而上学:デカルトと哲学的神学の流れ
8.宗教哲学の成立と展開(1):カントとシュライアマハー
9. 宗教哲学の成立と展開 (2):ヘーゲルとキルケゴール
10. 「神の死」とニヒリズム:ニーチェ
11.哲学と宗教の「解体」的反復:ハイデガー
12.日本の宗教哲学と仏教的伝統(1):西田幾多郎、田辺元
13. 日本の宗教哲学と仏教的伝統(2):九鬼周造、西谷啓治
14. アウシュヴィッツ以降の宗教哲学:レヴィナス、ヨナス
15.今日の宗教哲学の課題

後期火1 杉村靖彦 講義 宗教学B(講義)


[授業の概要・目的]

宗教哲学とは、哲学の一形態であると同時に、宗教研究のさまざまな道の一つでもある。この両面性とそれによる独自な意義が理解できるように、この授業では、宗教哲学と宗教学の歴史的関係を明らかにした上で、基本となる文献を幅広く選び、それぞれについて読解の手がかりとなるような解題を行っていく。それを通して、この分野における過去の重要な思索を自ら追思索し、宗教という事象を視野に入れた哲学的・学問的思索の一端に触れることが、この授業の目的である。

[授業計画と内容]

以下のテーマについて授業を行っていく(細部は変更の可能性あり)。
1.宗教哲学と宗教学(1):歴史的位置づけ
2.宗教哲学と宗教学(2):さまざまなアプローチ
3.宗教哲学と宗教学(3):現代的課題
4.デカルト『省察』:コギトと神証明
5.パスカル『パンセ』:考える葦と隠れたる神
6.ヒューム『宗教の自然史』:経験主義的宗教論の嚆矢
7.カント『単なる理性の限界内の宗教』:根源悪論と宗教哲学
8.ニーチェ『道徳の系譜学』:ラディカルな宗教批判
9.ジェイムズ『宗教的経験の諸相』:宗教心理学の方法
10.西田幾多郎『善の研究』:日本の宗教哲学の出発点
11.デュルケム『宗教生活の原初形態』:宗教社会学と原始社会論
12.ハイデガー『存在と時間』:「現存在」と「死への存在」
13.ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』:静的宗教と動的宗教
14.エリアーデ『聖と俗』:宗教現象学の射程
15.レヴィナス『全体性と無限』:全体性批判と他者論

前期水2 芦名定道 特殊講義 キリスト教思想研究入門A


[授業の概要・目的]

この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説 を行う。

[授業計画と内容]

本年度前期のテーマは、「宗教改革から近代キリスト教思想へ」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。

0.オリエンテーション
1.宗教改革と近代
2.古プロテスタンティズムから啓蒙的キリスト教合理思想へ
3.ヨーロッパ世界の拡大とキリスト教1
4.17世紀イギリスとキリスト教思想
5.自然主義とキリスト教
6.歴史主義とキリスト教
7.ドイツ古典哲学・神学の宗教論
8.シュライアマハーと19世紀キリスト教思想
9.宗教批判の諸問題
10.社会矛盾とキリスト教──マルクスの意義
11.個人主義か実存か──キルケゴール
12.ヨーロッパ世界の拡大とキリスト教2
13.トレルチとヨーロッパ主義
14.自由主義神学の限界と可能性
15.フィードバック

フィードバックの具体的なやり方については授業にて説明を行う。

後期水2 芦名定道 特殊講義 キリスト教思想研究入門B


[授業の概要・目的]

この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大 学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説 を行う。

[授業計画と内容]

本年度後期のテーマは、「旧約聖書と哲学的問い」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。

0.オリエンテーション
1.創造論とギリシャ哲学
2.契約思想の射程
3.罪と悪
4.王国とは?
5.歴史と終末
6.預言者とグローバル化
7.知恵文学の意義
8.ヨブ記を読む
9.黙示文学と社会批判
10.旧約聖書と平和の問題
11.ジェンダーから見た旧約聖書
12.拝一神教とその純化
13.旧約聖書において死とは何か
14.メシア思想
15.フィードバック

フィードバックの具体的なやり方については授業にて説明を行う。

前期水4 杉村靖彦 特殊講義 「自己同一」をめぐる諸考察


[授業の概要・目的]

哲学と宗教の双方において、「自己が自己である」という一見当たり前のことが、理論的にも実践的にも容易ならざることとして繰り返し問われてきた。この意味での「己事究明」は、自己や主体という言葉が重みを失っているように見える現代においても、宗教哲学の第一の課題でありつづけている。
本講義では、そうした課題に立ち向かうために了解し咀嚼しておくべき重要な思想の数々を、近現代の哲学史から選んで紹介し、各人が「自己同一」という問題を掘り下げていくための手掛かりを提供することを目指す。

[授業計画と内容]

基本的には以下のテーマについて授業を進める(若干の変更の可能性あり)。

1. 「自己が自己であるということ」:問いの在処とその宗教哲学的意味
2.「考える我」と自己同一(デカルト)(1)
3. 「考える我」と自己同一(デカルト)(2)
4.「憎むべき我」と「考える葦」(パスカル)
5.「内奥感の原初的事実」としての自己同一(メーヌ・ド・ビラン)
6. 「超越論的統覚」としての自己同一(カント)(1)
7. 「超越論的統覚」としての自己同一(カント)(2)
8. 「持続する我」の自己同一(ベルクソン)
9. 「現存在」の本来的自己性(ハイデガー)(1)
10.「現存在」の本来的自己性(ハイデガー)(2)
11. 場所的自覚の「述語的自己同一」(西田)(1)
12. 場所的自覚の「述語的自己同一」(西田)(2)
13. 他者への無限責任の自己(レヴィナス)
14. 物語的自己同一性(リクール)
15. 総括

*最後の授業は、本学期の講義内容全体をめぐる質疑応答と議論の場とし、講義内容の受講者へのフィードバックを図る。

後期水4 杉村靖彦 特殊講義 田辺哲学研究


[授業の概要・目的]

田辺元の哲学的思索は、その異様なまでの凝縮度と彼固有の論理への偏愛によって異彩を放っている。田辺は西洋哲学の最前線の動向、諸学問の最新の成果を飽くことなく摂取し、歴史的現実にもそのつど敏感に反応しつつ、それら全てに自前の思索によって緊密な総合を与えるべく、生涯血の滲むような努力を続けた。彼の濃密にすぎる文章はそのようにして生み出されたものである。この凝縮体を丁寧に解きほぐし、そこに封じ込められたさまざまな展開可能性を切り出すことによって、今日のわれわれがリアルな接触をもちうるような形で語り直すこと。それが本講義の狙いとするところである。本年度は、『懺悔道としての哲学』(1946)以降、特異な形の「宗教哲学」に踏み込んだ田辺の思索の10年ほどに渡る展開を追跡し、この時期の鍵語である「実存協同」の哲学的多産性を、宗教、哲学、政治、芸術等、諸分野の交錯の中で解明していきたい。

[授業計画と内容]

各回の授業内容は以下の通りである(細部は変更の可能性あり)。

1.本講義のアプローチの特色と狙い
2.田辺哲学の通時的展開の概観
3.「懺悔道」としての宗教哲学 (1):「他力哲学」という複合体
4.「懺悔道」としての宗教哲学 (2): 田辺の親鸞解釈
5.「懺悔道」としての宗教哲学 (3): 「共同」から「協同」へ
6.「種の論理」の行方 (1):「無即愛」の社会存在論的射程
7.「種の論理」の行方 (2): 「国家の根原悪」と戦後田辺の政治哲学
8.「実存協同」概念の成立と展開(1): 影響史的考察
9.「実存協同」概念の成立と展開(2): 概念構制の分析
10「実存協同」概念の成立と展開(3): その哲学的可能性
11「実存協同」と『キリスト教の弁証』(1): 田辺哲学とキリスト教
12「実存協同」と『キリスト教の弁証』(2): 懺悔道と「第二次宗教改革」
13『ヴァレリーの芸術哲学』読解(1): 文学制作と種の論理の更新
14『ヴァレリーの芸術哲学』読解(2): 言葉、象徴、偶然
15 総括

なお、最後の授業は、本学期の講義内容全体をめぐる質疑応答と議論の場とし、講義内容の受講者へのフィードバックを図る。

前期水5 福谷茂 演習 カント『純粋理性批判』演習


[授業の概要・目的]

カントの主著であり近世哲学史の基本書である『純粋理性批判』を精読する。狙いはカントを通して哲学史の展望を行うこと、および哲学のテクストの読み方の稽古を行うこと。

[授業計画と内容]

本年度は昨年度に引き続き「超越論的弁証論」の「純粋理性の誤謬推理」を読み進める。頻繁にクロスレファレンスを行うので、参加者はかならずPhilosophische Bibliothek版のKritik der reinen Vernunftを用意すること。

前期水5 杉村靖彦 演習 ポール・リクール「物語的自己同一性」を読む


[授業の概要・目的]

リクールが三巻本の大著『時間と物語』(1983-85)の結論部でもちだした「物語的自己同一性」という概念は、この著作で大規模に展開された物語論を自己論へと旋回させる端緒となり、1990年の『他者としての自己自身』(1990)へとリクールを導いた。この授業で扱う論文「物語的自己同一性」は、1986年に発表され、上の二つの大著の関係を照らすものとして重要な意味をもっている。
本演習では、この論文の全体を精読することによって、後期リクール哲学の核心を理解するとともに、自己同一性の形成と物語るという営みの本質的連関というさまざまな展開可能性を秘めた着想について、共に吟味検討していくことを目指す。

[授業計画と内容]

第1回 導入
テクストを読み進める上で必要な予備知識の解説を行う。
第2回‐14回
リクールの論文「物語的自己同一性」を1回当たり2,3頁のペースで読み進めていく。
第15回
論文の全体を振り返り、疑問点等について出席者全員で討議を行う。

後期水5 杉村靖彦 演習 ジャンケレヴィッチ『死』を読む


[授業の概要・目的]

ここ10年来、哲学や宗教が長らく根本問題の一つとしてきた死や死者という問題が、たとえば「死生学」といった新たな意匠の下で盛んにとりあげられてきたが、その際「一人称の死」「二人称の死」「三人称の死」という区分法が自明の事のように用いられてきた。それを最初に提示したのが、ジャンケレヴィッチの大著『死』(1966)である。死の三区分が便利な符牒として独り歩きする一方で、独自の用語を駆使し濃密な文章で展開されるこの著の叙述自体は、ほとんどまともに理解されていないとい言っても過言ではない。
今期の授業では、この著の第2部「死の瞬間における死」から重要箇所を抜粋して読み、ジャンケレヴィッチの独特の形而上学的思索が死の問いへと迫る仕方を精密に理解することを目指す。

[授業計画と内容]

第1回 導入
テクストを読み進める上で必要な予備知識の解説を行う。
第2回 序論と第一部の内容紹介
昨年度の演習で取り上げた箇所を中心に紹介する。
第3回‐14回
ジャンケレヴィッチ『死』の第2部「死の瞬間における死」の抜粋箇所を、1回当たり2,3頁のペースで読み進めていく。
第15回
読み終えた箇所全体を振り返り、疑問点等について出席者全員で討議を行う。

前後期木3 下田和宣 講読 カッシーラーの神話と宗教 『人間についての試論』を読む


[授業の概要・目的]

20世紀ドイツの哲学者エルンスト・カッシーラーが、晩年に英語で執筆した『人間についての試論』(1944)を読む。「シンボル」(ないし「シンボル形式」)をキーワードとするカッシーラー哲学の主題は、宗教を含む、人間精神に関わる諸現象の総体としての「文化」であり、「人間」である。諸現象の根源へと回帰するのではなく、むしろ人間精神の展開に着地する彼の文化哲学的アプローチは、他の精神諸科学・文化学との緊密な連関のもとで企てられるものであり、かつその学際的・領域横断的知性は、今日なお多様化し、複雑化する宗教現象を考えるうえでひとつの参照軸となることが期待される。

[授業計画と内容]

(前期)

カッシーラーの思索の独自性に触れるために、前期では、彼の基本的立場が示されている『人間についての試論』第一部を取り上げる。この書は、彼の浩瀚な主著『シンボル形式の哲学』で展開された思想体系を、「シンボルを操る動物」としての「人間」という視点を軸に簡潔に整理したものであり、それゆえカッシーラー哲学入門として最適なものである。

第1回 イントロダクション
カッシーラーについての概説、授業の進め方、および扱うテキストについて説明する。 訳読の割り当てを決める。

第2回~第14回 『人間についての試論』第一部を読む
担当者は訳読の用意をする。原典に対する正確な理解のために、カッシーラーが行う引用についても、調べてみる(彼のようなスタイルの思想家を読む場合、この作業がしばしば必要であり、かつ有効である)。段落ごとの内容要約を行い、その理解について議論する。

第15回 フィードバック
全体を振り返り、残された課題や問題点などについてまとめ、議論する。

(後期)

講読の主対象は、カッシーラー『人間についての試論』第七章「神話と宗教」である。しかし、神話の問題は彼の思索のなかでもとくに重要な位置を占めており、例えば主著『シンボル形式の哲学』第二巻「神話的思考」、および最晩年の『国家の神話』をはじめとして、他にもいくつか重要な文献が存在する。これらについても積極的に目を配りたい。また、当時の古典文献学・神話学の動向を参照し、カッシーラー哲学をめぐる独自のコンテクストを明らかにすることで、立体的な理解を構築したい。

第1回 イントロダクション
前期の復習、「神話と宗教」をめぐる当時の学問的状況についての概説、授業の進め方および扱うテキストについて説明する。 訳読の割り当てを決める。

第2回~第14回 『人間についての試論』第七章「神話と宗教」を読む
担当者は訳読の用意をする。当時の学問状況、および原典に対する正確な理解のために、カッシーラーが行う引用についても調べてみる(彼のようなスタイルの思想家を読む場合、この作業がしばしば必要であり、有効である)。段落ごとの内容要約を行い、その理解について議論する。

第15回 フィードバック
全体を振り返り、残された課題や問題点などについてまとめ、議論する。

後期金3 安部浩 演習 ハイデガーのニーチェ講義を読む


[授業の概要・目的]

ハイデガーのニーチェ講義。それは、ハイデガーその人の一見秘教的と思しき中期以降の思想を理解する上でも、ニーチェの後期哲学の高峰を踏査する上でも、避けて通ることのできない文献である。しかのみならず、ハイデガーやニーチェの思想との関連を別にしても、それは哲学の根本問題を自ら考える上で実に多くを教えられる、滋味掬すべき必読の書である。
この大部の著作の第一巻、第一部を冒頭から繙読し、議論を戦わせていくことで、われわれは、藝術、永劫回帰、認識、形而上学、真理、存在等をめぐる問題系に関する考察に努めることにしよう。そしてそれにより、語学・哲学上の正確な知識、及び論理的思考力に基づく原典の厳密な読解力を各人が涵養すること、そしてこの読解の過程において浮上してくる重要な問題をめぐる参加者全員の討議を通して、各人が自らの思索を深化させていくことが、本演習の目的である。

[授業計画と内容]

原則的には毎回、予め指名した二名の方にそれぞれ、報告と演習の記録を担当して頂くことにする。以下、各回に扱う予定である原典の範囲を記すが、授業の進度については出席者各位の実力を勘案して修正することもある。

1. ガイダンス
2. Vorwort + Nietzsche als metaphysischer Denker
3. Das Buch Der Wille zur Macht
4. Plaene und Vorarbeiten zum Hauptbau
5. Die Einheit von Wille zur Macht, ewiger Wiederkehr und Umwertung
6. Der Aufbau des Hauptwerkes. Nietzsches Denkweise als Umkehren
7. Das Sein des Seienden als Wille in der ueberlieferten Metaphysik + Der Wille als Wille zur Macht
8. Wille als Affekt, Leidenschaft und Gefuehl
9. Die idealistische Deutung der Willenslehre Nietzsches
10. Wille und Macht. Das Wesen der Macht
11. Die Grund- und die Leitfrage der Philosophie
12. Die fuenf Saetze ueber die Kunst
13. Sechs Grundtatsachen aus der Geschichte der Aesthetik
14. 総括と総合討論

金4・5(隔週) 杉村靖彦 演習Ⅱ 宗教哲学基礎演習


[授業の概要・目的]

宗教哲学の諸問題を考えるための基礎となる文献を選び、宗教学専修の大学院生にもチューターとして協力を仰ぎながら、それらを共に読み進み、問題を掘り起こし、議論を行う場となる授業である。授業への能動的な参加を通して、より専門的な研究への橋渡しになるような知識と思考法の獲得を目指す。
宗教学専修の学部生の必修授業であるが、哲学と宗教が触れ合う問題領域に関心をもつ2回生、および他専修学生の参加も歓迎する。

[授業計画と内容]

上田閑照『私とは何か』の主要箇所を共に通読していく。各回2,3人の担当者を決め、授業の前半は、担当者の内容要約および考察の発表と、それに対するチューター役の大学院生によるコメントに充てる。授業の後半では、教員の司会進行の下、発表内容をめぐって、質疑応答と議論を行っていく。隔週授業のため、全7回として各回のテーマを記しておく。(詳細は変更の可能性あり)

1. オリエンテーション
2. 上田閑照『私とは何か』「私とは何か?」
3. 同上「自我と自己」「立って「我」・坐して「我なし」」
4. 同上「コギト」
5. 同上「私と汝」
6. 同上「自覚と自意識」「無我ということ」
7. 総括

金4・5(隔週) 杉村靖彦 演習Ⅱ 宗教学の諸問題


[授業の概要・目的]

演習参加者が、宗教学の諸問題のなかで各人の研究するテーマに即して発表を行い、その内容をめぐって、全員で討論する。討議のなかで、各人の研究を進展させることが目的である。

[授業計画と内容]

参加者が順番に研究発表を行い、それについて全員で討論する。各人の発表は二回にわたって行う。即ち、発表者は1時間以内の発表を行い、続いてそれについて討論する。発表者はその討論をうけて自分の発表を再考し、次回にその再考の結果を発表して、それについてさらに踏み込んだ討論を行う。したがって、1回の授業は前半と後半に分かれ、前半は前回発表者の二回目の発表と討論、後半は新たな発表者の一回目の発表と討論となる。
第1回 オリエンテーション、参加者の発表の順番とプロトコールの担当者を決定。
第2回ー8回 博士課程の院生による発表と全員での討論。
第9回-14回 修士課程の院生による発表と全員での討論。
第15回 総括。

前期集中 増田一夫 特殊講義 ジャック・デリダ――その思想の輪郭を探る


[授業の概要・目的]

ジャック・デリダ(1930年-2004年)については、講義録も徐々に刊行され、その思想がようやく姿を現しつつある。現前の形而上学の脱構築、エクリチュール、差延などで知られ、近年では「動物論」の文脈で引き合いにだされるこの思想家については、しばしば難解だという評価がおこなわれている。しかし、実のところ、その思想は深淵かつ抽象的な宇宙論などを語ることはなく、「動物論」も示しているように、きわめて具体的な問題を論じるものである。
今回の授業では、デリダという思想家がいかにフランス語を駆使し、いかに言語というエレメントを絶えず重視しながら思考してきたかを示しつつ、記号、隠喩から、ユダヤ性や友愛を経由し、死刑制度などへといたる道のりを示唆してみたい

[授業計画と内容]

担当教員が大枠の解説等をしながら授業を進め、受講者による講読が中心となる授業ではない。ただし、教員による解説を裏づけるテクストなどを、受講者の能力に応じて、翻訳、解説していただくことはある。その際の分担量については、集中講義のため準備期間が短いことを考慮する。

第1回:イントロダクション
デリダの思想的行程を概観し、授業で扱うテーマやテクストを指示する。また、受講者に翻訳や解説を求めるテクストについて、担当者を決める。
第2回~第14回:各テーマの読解と解説。以下のテーマを扱う。(予定)
・ボルティモア1966年:「私はいま死んでいる」の思想
・諸言語で哲学すること
・フッサールの厳密さとハイデガーのパトス
・哲学的隠喩と存在者的隠喩
・来たるべきものと事実
・帰属と固有性
・他者の単一言語使用
・周縁からの視点
・ユダヤ性の問題
・死のアポリア
・主権への問い
・死刑制度への視座
第15回:筆記試験

授業では、受講者の発言を重視する。期間中、授業2回分程度の時間を質疑と意見交換に充てる。

前期集中 後藤正英 特殊講義 ドイツ観念論における三つの宗教論争


[授業の概要・目的]

いわゆるドイツ観念論(最近はドイツ古典哲学という呼び方も一般的である)の展開過程においては、三つの宗教論争が存在したことが知られている。それは、汎神論論争、無神論論争、神的事物論争(有神論論争)の三つである。特に注目すべきは、いずれの論争においても、ヤコービが論争の仕掛人としての役割を果たしている点である。ヤコービは、メンデルスゾーン、フィヒテ、シェリングとの論争を通して、ドイツ観念論の形成に大きな役割を果たすことになったのである。

ヤコービはスピノザの哲学を一元論的な体系をもつ合理主義哲学の典型として理解したうえで、そのような哲学に人間の自由や超越的な神の人格性が捉えられるのかという挑発的な問題提起を行った。ドイツ観念論の哲学者たちは、この問題提起に対して、それぞれの仕方で応答しようと試みることになったといえる。

もちろん、これらの論争においては、スピノザだけでなく、カントの道徳宗教理解も大きな争点となっている。この講義では、上記の三つの論争の経緯を概観する中で、ドイツ観念論に代表される近世ドイツの宗教哲学が争点としたものは何であったのかを明らかにしたい。

[授業計画と内容]

以下の各項目について講述する。各項目には、受講者の理解の程度を確認しながら、それぞれ冒頭に記した授業回数をあてる。

第1回~第3回(第1日)ドイツ観念論の名称について、ドイツ観念論前史としての啓蒙主義の哲学(特にモーゼス・メンデルスゾーンとカント)について
第4回~第6回(第2日)論争の仕掛人ヤコービの思想と生涯、第一の論争(汎神論論争)について
第7回~第9回(第3日)第二の論争(無神論論争)について
第10回~第12回(第4日)第三の論争(神的事物論争)について
第13回~第15回(第5日)積み残したテーマについて、近世ドイツの宗教哲学が現代に問いかける問題について