講義案内

講義案内(平成29年度前期)

タイ族仏塔(中国雲南省)

タイ族仏塔(中国雲南省)

 

 

時間割(平成29年度前期)

特殊講義
宮宅
特殊講義
矢木
特殊講義
岩井
特殊講義
石川
特殊講義
特殊講義
演習
村上
特殊講義
高嶋
特殊講義
井上
演習
高嶋
特殊講義
太田
特殊講義
江田
演習
吉本
特殊講義
浅原
特殊講義
中砂
特殊講義
吉本
演習(院)
中砂
演習
中砂
演習(院)
吉本
集中 特殊講義
廣瀬

 

※(学部)は学部生のみ、(院)は原則大学院生のみの科目。

講義内容【特殊講義】

石川禎浩 中国現代史特殊講義

(授業の概要・目的)
中国現代史における大衆文化・流行現象に着目し、流行歌曲の変遷をたどることによって、時々の時代相、時勢の変化を分析する。流行歌の登場は、ナショナルな共通経験を基盤にして成立する国民国家の成立・発展と相表裏する関係にあることを念頭におき、国民国家としての中国が共有した共通経験が如何なるものであるかを探る。

(授業計画と内容)
第1回 流行の発生にかんする歴史概説と関連書籍の紹介
第2-4回 中国における近代的音楽の受容と流行歌の誕生(1904-1926)
第5-7回 南京国民政府期の流行歌曲と戦時歌謡(1927-1945)
第8-10回 中国共産党による革命宣伝と革命歌(1927-1949)
第11-12回 中華人民共和国初期の宣伝歌曲(1949-1976)
第13-15回 改革・開放政策以降の流行歌曲(1976-2000)
第16回 フィードバック

中砂明徳 天主教漢籍とキリシタン文献

(授業の概要・目的)
明末に中国にやってきたイエズス会宣教師は、マテオ・リッチをはじめとして漢文による著述を多数行った。その中で最も有名なのはリッチの『天主実義』だが、この書物はイエズス会士の多面的な著述の一面を表すものに過ぎない。近年、ローマ・イエズス会文書館、フランス国立図書館、ヴァチカン図書館所蔵の漢籍が次々と公刊されたことで、天主教漢籍の広がりと豊かさがようやく認知されつつある。
 この授業は、『天主実義』以外のテクストの中から、同時期の日本のキリシタン文献と比較対照しうるものを選んで解説し、その布教史上における意味を問うことを主眼とする。さらに余力があれば、底本となったと想定されるヨーロッパの書物と並べてみることで、テクストをトレント公会議後のカトリック世界の潮流の中に位置づけてみたい。

(授業計画と内容)
1回 天主教漢籍についての研究状況の紹介と本授業の位置づけ
2回 キリシタン版研究の現状
3~6回 『聖人行実』と『サントスの御作業』
7~8回 『軽世金書』と『コンテムツス・ムンヂ』
9回~13回 『聖経直解』と「バレト写本」
14回 まとめ

宮宅潔 中国古代制度史と出土文字史料

(授業の概要・目的)
近年中国古代史の研究に大きな影響を与えている新出史料、すなわち竹簡・木簡史料について概説する。出土地域ごとに発見史をたどりながら、主要な竹簡・木簡群を紹介し、それが歴史研究、特に制度史研究に与えたインパクトについて講義する。

(授業計画と内容)
1.ガイダンス
2.簡牘の発見史
3.墓葬出土簡と秦漢法制史:睡虎地秦簡・張家山漢簡
4.官吏の日常生活:尹湾漢簡
5.辺境の守り:居延漢簡・敦煌漢簡

初回のガイダンスの後、各単元を3~4回に分けて講義する。

承志 マンジュ語文書を読む

(授業の概要・目的)
この授業では、マンジュ語文語の資料をもとにマンジュ語の初級文法を学ぶ。これによって、マンジュ語文語で書かれた文書資料を読解し、世界におけるダイチン=グルン歴史研究の現状を理解する。前期の授業では簡単な文書資料が読めることを目的とする。

(授業計画と内容)
第1回 世界各地所蔵のマンジュ語文書資料の紹介とその研究意義
第2回~第9回 マンジュ語文語(文字)
第10回~14回 マンジュ語文語(文法)
第15回 まとめ

太田出 中国近世の訴訟と地域社会

(授業の概要・目的)
明清時代を対象とする中国近世の法制史研究では、近年、地域社会において実は訴訟を起こすこと自体がかなり身近なものであり、「健訟」(盛んに訴訟を行う)と呼ばれるような状況が現出していたことが明らかにされている。本講義では、明清時代の裁判機構、法典、裁判文書について概要を説明した後、明清時代の裁判の性格をめぐる議論を整理しながら、地域社会の秩序形成を紛争と調停、判決の性格といった視点から捉えなおしてみる。史料としては、基本法典のほか、行政最末端の地方官庁レヴェルの裁判史料、さらに司法官が自らの名裁きを誇示するために出版した判決集=判牘を用いることにする。

(授業計画と内容)
第1回:ガイダンス
第2回:明清時代の裁判機構
第3回:明清時代の法典
第4回:明清時代の裁判文書(一)──中央档案と地方档案
第5回:明清時代の裁判文書(二)──判牘
第6回:明清時代の紛争と調停
第7回:明清時代の判決の性格
第8回:明清時代の人々にとって訴訟はどれぐらい身近なものだったか?
第9回:誰が訴状を書いたか?──代書
第10回:当時、弁護士はいたか?──訟師
第11回:訴訟関係者はどのようにして呼び出されたか?──胥吏・衙役
第12回:訴訟関係者はどこに宿泊したか──歇家
第13回:州県行政から見た裁判と徴税
第14回:明清時代の訴訟と地域社会
第15回:期末試験
第16回:フィードバック

浅原達郎 説文解字(字義)

(授業の概要・目的)
清代の学者による説文解字の注釈を,とくに字義に重点を置いて読みながら,古文字学の基礎となるべき説文解字の読み方を探る。

(授業計画と内容)
ひたすらていねいに読むことを心がけるが,ただ,出土文字資料との関連には留意したい。説文解字のどの文字を読むかは,受講者の希望を聞いて決める。テキストには,段玉裁『説文解字注』(経韻楼本)を用いる。おのおの持参することが望ましいが,持ち合わせないひとは,無理に準備する必要はない。講義の進め方の詳細については,初回の授業で説明する。

吉本道雅 左伝研究序説

(授業の概要・目的)
『左伝』は『春秋』の注釈の形式を採りつつ前722~前468年の歴史を編年体で記述した史書である。『史記』十二諸侯年表は、孔子の弟子、左丘明の編纂とするが、唐代以降、戦国時代の作品とみなす説が有力となっている。『左伝』の成書年代・成書地域を検討し、記述の重点を確認することで、戦国時代における歴史記述・歴史認識のありかたを考える。

(授業計画と内容)
以下の項目を逐次講ずる
第1回~第4回 『春秋』『左伝』に関する伝統的理解
第5回~第9回  『左伝』の成書
第10回~第14回 『左伝』の歴史認識
*フィードバック方法は授業中に説明する。

辻正博 隋唐史料論

(授業の概要・目的)
隋唐時代の社会を研究するためには、種々の史料を利用せねばならないこと改めて言うまでもない。この講義では、各種史料の成立事情と特徴、利用に際しての注意点などについて、具体例を織り交ぜつつ解説する。

(授業計画と内容)
以下のテーマについて、2~3週を目途に講義を進める。
なお、初回授業(ガイダンス)時に、学期の授業計画および講義で必要される諸事項について説明を行うので、必ず出席すること。
1.「正史」をめぐる諸問題……成立史、テキストをめぐる問題
2.『大唐創業起居注』と唐初の実録
3.『資治通鑑』……編纂の経緯、『通鑑考異』と胡三省注
4.『通典』と『通志』『文献通考』
5.『大唐六典』の史料論
6.『唐会要』……通行本の問題点と使用上の注意
7.石刻史料―特に墓誌について

井上直樹 近代朝鮮・満洲史学と朝鮮古代史の諸問題

(授業の概要・目的)
近年、中国東北地方から朝鮮半島にかけての地域に興亡した高句麗の帰属をめぐって、中国と韓国の研究者を中心に激しい議論が繰り広げられた。しかし、この問題はこれら二国だけの問題ではない。実は、高句麗の帰属問題については、近代日本が当該地域を支配しようとしてきたこともあり、日本でも歴史の帰属問題は議論されてきたことであった。本講義では、こうした高句麗をめぐる帰属論争を解説した上で、近代日本における朝鮮・満洲観を論じるとともに、古代史上の高句麗およびそれと密接に関連する百済・新羅・加耶諸国の史的展開過程について講義し、朝鮮古代史研究上の諸問題について検討する。

(授業計画と内容)
基本的に以下のプランに従って講義を進める。ただし講義の進みぐあい、時事問題への言及などに対応して順序や同一テーマの回数を変えることがある。
第1回 高句麗史をめぐる中国・韓国の歴史論争とその問題(1)
第2回 高句麗史をめぐる中国・韓国の歴史論争とその問題(2)
第3回 日清・日露戦争期の日本の大陸政策と高句麗史認識(1)
第4回 日清・日露戦争期の日本の大陸政策と高句麗史認識(2)
第5回 近代日本における高句麗史認識-満洲国における歴史論争
第6回 近代歴史学と高句麗史研究の問題
第7回 4世紀の高句麗と朝鮮半島諸国と倭
第8回 5世紀後半の朝鮮半島情勢と高句麗の対外関係(1)
第9回 5世紀後半の朝鮮半島情勢と高句麗の対外関係(2)
第10回 6世紀前半の東アジアと高句麗
第11回 6世紀半ばの高句麗の対倭外交と東アジア情勢
第12回 6世紀末から7世紀初の東アジア情勢と高句麗
第13回 7世紀半ばの東アジア情勢と高句麗
第14回 高句麗遺民と東アジア情勢
第15回 まとめ

江田憲治 

(授業の概要・目的)
本講義では、東アジア近現代を対象領域とし、近代当初にあって東アジア世界がいかなる構造的変革を見たかを確認した上で、東アジアとくに中国がどのように西洋文明を受容し、またこれを変容させたか、それが現代の社会状況といかなる連続性を持つのか、について考察する。
東アジア、とくに中国の歴史過程について史料と研究にもとづいた批判的理解を可能にすることが目的である。
なお、講義形式の授業のほか、適宜、受講者が従来の研究論文を要約して受講者が報告する発表形式の授業をも行う。

(授業計画と内容)
第1回 ガイダンス(授業の概要・方針などの説明)
第2回 東アジア世界の西洋文明受容――日本・中国・朝鮮の比較(1)
第3回 東アジア世界の西洋文明受容――日本・中国の比較(2)
第4回 中国における民主主義の受容――変法運動(1)
第5回 中国における民主主義の受容――変法運動(2)
第6回 東アジア「近世」から「近代」へ――日清戦争前夜
第7回 東アジア「近世」から「近代」へ――日清戦争とその歴史的意義
第8回 中国における民主主義の受容――辛亥革命(1)
第9回 中国における民主主義の受容――辛亥革命(2)
第10回 中国における社会主義の受容――国家社会主義
第11回 中国における社会主義の受容――アナキズム
第12回 中国における社会主義の受容――マルクス主義
第13回 日本における侵略思想の展開――日中戦争をもたらしたもの
第14回 総括

矢木毅 朝鮮史詳説(近世篇3)

(授業の概要・目的)
朝鮮後期(17~19世紀)における政治史・外交史を概観し、近世朝鮮社会の特質について考察する。漢文史料の読解能力を高めるとともに、東アジア世界との連関のもとに朝鮮半島の歴史について深く理解することを目的とする。

(授業計画と内容)
前期は純祖・憲宗・哲宗朝における「勢道政治」の展開と、それに反発して起こった「民乱」の諸相について考察する。主な話題は次のとおり(各テーマについて3~4週の授業をする予定)。

(純祖朝)
・辛酉教難(1801)
・辛未洪景来の乱(1811)
(憲宗朝)
・己亥教難(1839)
(哲宗朝)
・壬戌三南の民乱(1862)

岩井茂樹 前近代の外交と文書資料 Ⅲ

(授業の概要・目的)
中国では官府の保存公文書を「案巻」などと称していた。清朝時代にはあらたに「档案」という用語が使われるようになった。案巻や档案は史書や地方誌の編纂のさいに利用されることはあったものの,朝廷の内閣大庫や地方官衙の架閣庫などに保管され,公開利用などの制度はなかった。1920年代末に内閣大庫の档案が市中に流出する事件が起こってから,あらためてその価値が認識され,保存措置が講じられるとともに,1930年代以降,中央研究院などによる組織的な研究が開始された。今日にいたるまで中国・台湾ですすめられた档案資料の整理・出版は,档案資料の利用におおきな利便をもたらしている。
一方,日本では外國との文書のやりとりのさいに前例を参照する「勘文」の手続きがおこなわれ,その必要から記録が作成された。また,漢文による外交文書を作成するうえでの便宜から過去の文書例を編纂することがおこなわれた。
このようにして伝存した歷史資料を利用するための知識と,そこから得られる情報の分析の方法について学ぶ。

(授業計画と内容)
1.中国における案巻,檔案の形成とその利用について(第1週)
2.日本と琉球における対外関係資料の整理と伝存の状況について。(第2~3週)
3.17世紀以降の日中交渉にかかわる資料の紹介と選読(第4~10週)
4.使琉球録の概要および選読(第11~14週)

高嶋航 近代中国とジェンダー

(授業の概要・目的)
近代中国におけるジェンダーの問題を、日本と比較しつつ検討する。

(授業計画と内容)
以下の各項目について講述する。各項目の講義の順序は固定したものではなく、担当者の講義方針と受講者の背景や理解の状況に応じて、講義担当者が適切に決める。
1.男性性の定義、研究史
2.近現代中国における男性性の検討
1-3.冒険・探検
4-6.軍事
7-9.教育
10-14.ファッションなど

廣瀬憲雄 東部ユーラシア/東アジアの外交関係

(授業の概要・目的)
本講義では、日本古代・朝鮮古代・中国第一次南北朝~第二次南北朝時代の外交史を題材に、担当教員による最新の研究成果を紹介する。本講義で紹介する外交史は、従来は「東アジア世界」という概念の中で理解されてきたが、近年では歴史像の見直しが進み、新たな視点から研究が進められている。本講義では、担当教員による最新の研究成果を紹介することで、受講生各自の問題意識・史料の解釈や立論過程の水準を高めることをめざす。

(授業計画と内容)
以下の構成で論じる予定である。ただし、特殊講義は教員が手がけた最新の研究を紹介することを旨とするため、予定が変更される(最新の研究が追加される)可能性がある。詳細は、第1回の講義の際に紹介する。

1  授業の目的と方法
2  東アジアと東部ユーラシア Ⅰ
3  東アジアと東部ユーラシア Ⅱ
4  五・六世紀東部ユーラシアの外交文書と外交儀礼 Ⅰ
5  五・六世紀東部ユーラシアの外交文書と外交儀礼 Ⅱ
6  致書文書の再検討と日出処天子 Ⅰ
7  致書文書の再検討と日出処天子 Ⅱ
8  七世紀後半における倭国の外交儀礼 Ⅰ
9  七世紀後半における倭国の外交儀礼 Ⅱ
10 白村江の戦い以降の日羅関係 Ⅰ
11 白村江の戦い以降の日羅関係 Ⅱ
12 新羅宰相制度考 Ⅰ
13 新羅宰相制度考 Ⅱ
14 外交文書の校訂と注釈
15 まとめ

講義内容【演習】

高嶋航 梁啓超『飲冰室合集』選読

(授業の概要・目的)
梁啓超の文集『飲冰室合集』から重要な文章を選読する。 今回は「新史学」から始める。

(授業計画と内容)
精読と多読を併用する。大学院生には毎回『飲冰室合集』から文章一篇を選んでその趣旨や関連事項を説明してもらい、質疑に応えてもらう。 初回はガイダンスで二回目から読み進める。

中砂明徳 英語論文のレビュー

(授業の概要・目的)
現在、鄭氏台湾期を主たるフィールドとして活躍がめざましいTonio Andradeが編集した論文集Sea Rovers, Silver, and Samurai(Honolulu,2016)に収録された論文を会読し、受講者が講評を行い、それについて討論する。
 日本でも、東アジア海域史研究は活況にあるが、英語論文を読むことで、日本の研究潮流が海外のそれとどうクロスしているのか、あるいはすれちがっているのかが明らかになれば、この授業の目的は達成される。

(授業計画と内容)
1,趣旨説明
2回以下は、1回につき1本の論文を担当者が内容紹介し、論評を加え、それにもとづいて議論する。以下、とりあげる論文名を記す。
2,Envoys and Escorts:Representation and Performance among Koxinga’s Japanese Pirate Ancestors
3,Friend or Foe? : Intercultural Diplomacy between Momoyama Japan and the Spanish Philippines in the 1590s
4,Maps,calendars,and Diagrams:Space and Time in 17th-Century Maritime East Asia
5,Yiguan’s Origins:Clues from Chinese,Japanese,Dutch,Spanish,Portuguese,and Latin Sources
6,Between Bureaucrats and Bandits:The Rise of Zheng Zhilong and His Organization,the Zheng Ministry
7,The Zheng Regime and the Tokugawa Bakufu
8,Determining the Law of the Sea: The Long History of the Breukelen
case,1657-1662
9,Dreams in the Chinese Periphery:Victorio Riccio and Zheng Chenggong’s Regime
10,Shame and Scandal in the Family:Dutch Eavesdropping on the Zheng Lineage
11,Bridging the Bipolar:Zheng Jing’s Decade on Taiwan,1663-1673
12,The Burning Shore:Fujian and the Coastal Depopulation,1661-1683
13,Admiral Shi Lang’s Secret Proposal to Return Taiwan to the VOC
14,Trade,Piracy,and Resistence in the Gulf of Tonkin in the 17th Century

中砂明徳 『明清档案』を読む

(授業の概要・目的)
 中央研究院が刊行した『明清史料』及び刊行中の『明清档案』に収録されている清朝順治年間の文書を読み、中国制圧の過程を清朝サイドから見てゆく。明末清初の動乱に関する歴史記述とそれを承けた研究は、満洲人王朝の世界史的意義が強調されるようになった今日においてもなお「敗者」の側に片寄りすぎている。あらためてこの史料集を読むことで、勝者の視点から冷静に支配確立の過程をたどりたい。
 今年は順治三年(1646)の档案を読む。この年の末には広州が清軍の手に落ちているが、前年に南京が陥落して以降も、南方はおろか華北の支配も決して安定していたとは言い難い。清朝支配の試行錯誤の過程を、文書を通じてたどってゆく。

(授業計画と内容)
1回 『明清档案』のテキストの性格を説明し、昨年読んだところについて言及しながら、順治元年~三年にわたる政治情勢について解説する。
2~5回 順治三年春
6~9回 同年夏
10~14回 同年秋・冬

村上衛 在中国イギリス領事報告を読む

(授業の概要・目的)
史料についての基本的な知識を得たうえで、中国近代の社会・経済に関する英文史料を精読する。英文史料を読むことによって、イギリス人などの外からの目を利用しつつ、中国近代社会経済史に対する理解を深める。

(授業計画と内容)
イギリス外交文書のうち、在中国イギリス領事の報告(FO228)を精読する。具体的には、内地流通に関わる商業紛争など、主として経済に関わる紛争を取り上げる。必要に応じてFO228に含まれている英文史料に対応する漢文史料も読む。なお、史料の内容は非常に細かいものが多いため、講義形式の解説を加え、史料を中国近代史の中に位置づけていく。
各回の計画としては、1~3回目の授業で史料について解説を行った後,4回目以降は担当者を決めて史料を読み進めていく予定である。

吉本道雅  『春秋左伝正義』

(授業の概要・目的)
十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

(授業計画と内容)
昨年度の続き。魯の年代記の形式を採る『春秋』と、その注釈書の形式を採る『左伝』は春秋時代を研究するための基本的な資料である。『春秋』『左伝』の成立過程については今なお活発な議論が進行中である。『左伝』には、西晋・杜預の『春秋経伝集解』、唐・孔頴達の『正義』が附されている。本演習では『正義』を精読することで、漢文を文法的に正確に読解する能力を養うとともに、『正義』の引用する唐代以前の諸文献を調査し、また『正義』の論理構成に習熟することによって、経学の基本的な方法論を理解する。また、先秦期の文献・出土資料を全面的に参照することによって、『春秋』『左伝』の成立過程についても考察し、先秦史研究の資料学的素養を身につける。
第1回~第14回 『春秋左伝正義』の輪読
*フィードバック方法は授業中に説明する。

吉本道雅  中国古代史史料学

(授業の概要・目的)
楊寛『戦国史料編年輯證』を輪読し、関連史料・研究を批判的に検討する。

(授業計画と内容)
昨年度の続き。従来の戦国史(453-221BC)研究は、戦国後期の秦史に偏しており、戦国前・中期や六国については、資料の絶対量の乏しさに加えて、『史記』紀年の混乱が、歴史的推移の時系列的把握を困難にしてきた。1990年代以降の戦国楚簡の出現は、とりわけ思想史的研究を活発化させているが、かえって文献に対する研究の立ち後れを露呈させている。本演習では、楊寛『戦国史料編年輯證』(上海人民出版社、2001/台湾商務印書館、2002)を輪読し、関連史料・研究を批判的に検討することによって、中国古代史研究に関わる文献・出土文字資料・考古学的資料の運用能力を向上させる。
第1回~第14回 『戦国史料編年輯証』の輪読
*フィードバック方法は授業中に説明する。