講義案内

 

 

時間割(令和四年前期)

特殊講義
矢木
特殊講義
古松
特殊講義
高嶋
演習III
高嶋
演習
石川
特殊講義
特殊講義
宮宅
3 特殊講義
太田
演習I
吉本
特殊講義
小野寺
4 特殊講義
中砂
特殊講義
吉本
特殊講義
承志
特殊講義
村上
5 演習
中砂
演習II
中砂
特殊講義
箱田
演習
吉本
集中 特殊講義
上田

 

※(学部)は学部生のみ、(院)は原則大学院生のみの科目。

講義内容【特殊講義】

小野寺史郎 近現代中国における軍事と社会

(授業の概要・目的)
清末から中華人民共和国に至る時期の中国知識人における軍事と平和をめぐる議論の展開を概観する。中国近現代史に対する理解を深めるとともに、近現代中国の軍事と平和に対する見方がどのような特徴をもつのか、それらの特徴はどのような原因によって生じたのか、それらの特徴は中国に特有のものかそれともより普遍的なものか、といった諸問題について考察することを通じて、現在の中国を歴史的に捉える視点を身につける

(到達目標)
東アジア、とくに中国の歴史と現状について、資料と先行研究にもとづいて考察する視座と方法を獲得し、批判的に理解する。

(授業計画と内容)
第1回 ガイダンス
第2回 近代以前の中国の軍事制度の概観
第3回 19世紀末の諸反乱と「督撫重権」
第4回 日清戦争と日本モデル
第5回 「軍国民主義」と軍事観の変容
第6回 辛亥革命と民国初期の徴兵制論
第7回 第一次世界大戦と東西文明の評価
第8回 1920年代のミリタリズム
第9回 国民革命と社会への影響
第10回 南京国民政府期の軍事と社会
第11回 日中戦争下の徴兵をめぐる問題
第12回 日中戦争から国共内戦へ
第13回 中華人民共和国の軍制と社会
第14回 講義のまとめ
第15回 フィードバック

宮宅潔 中国古代制度史と出土文字史料

(授業の概要・目的)
近年中国古代史の研究に大きな影響を与えている新出史料、すなわち竹簡・木簡史料について概説する。出土地域ごとに発見史をたどりながら、主要な竹簡・木簡群を紹介し、それが歴史研究、特に制度史研究に与えたインパクトについて講義する。

(到達目標)
新出史料に関する知識を身につけ、そこからうかがえる古代社会の有様について理解を深め、古代史研究の基礎を確立する。

(授業計画と内容)
1.ガイダンス
2.中国簡牘史料の発見史
3.楚簡の概観
4.秦簡の概観
5.墓葬出土漢簡の概観
6.辺境出土漢簡の概観

初回のガイダンスの後、各単元を2~3回に分けて講義する。

村上衛  モノからみる中国近代史

(授業の概要・目的)
近年における中国の台頭は中国の経済成長が原因であり、中国経済の動向は中国の今後を決めるだろう。中国近代史も戦争や革命などに目を奪われがちであるが、実は中国経済の動向に大きく左右されてきた。本講義では、中国近代経済史上、重要な役割を果たした商品である茶・アヘン・米・羊毛・大豆の生産・流通およびそれが中国近代史に与えた影響について概説し、新たな視点から中国近代史を理解することを目指す。

(到達目標)
中国の「伝統的」な経済の仕組みをふまえつつ、中国近代において重要な商品である茶・アヘン・米・羊毛・大豆がどのような地域で誰によって生産され、どのような人々の手を経て流通していたのかを把握する。そのうえで、これらの商品の貿易が中国経済のみならず、中国の政治外交・社会に与えた影響について理解する。

(授業計画と内容)
1. ガイダンス
2. 中国経済の仕組み
3. 中国茶貿易の発展
4. アジア間競争と中国茶の行方
5. アヘン貿易の発展
6. 中国アヘンの発展
7. 日中戦争とアヘン
8. 中国の米生産と動乱
9. 外国米貿易の発展
10. 羊毛貿易の勃興
11. 羊毛と内地経済
12. 大豆貿易の発展と満洲の開発
13. 大豆貿易と中国政治
14. まとめ
15. フィードバック

高嶋航 帝国日本のスポーツ

 

(授業の概要・目的)
私はかつて『帝国日本とスポーツ』(2012年)を書いて、内地中心の日本スポーツ史を批判した。その後、朝鮮や台湾のスポーツに関する良質の研究が出てきたものの、それらはなお植民地と宗主国の二者関係に視野が限られ、帝国全体を見渡すものとはなっていない。帝国全体を描くうえでネックとなっているのが満洲のスポーツ史であり、その研究はいま着実に進みつつある。その具体的成果は後期の授業で紹介することにし、前期は日本内地、朝鮮、台湾、満洲などでスポーツが発展し、帝国に統合される過程、スポーツを通じた「文明化の使命」が日中戦争期の占領統治へと引き継がれていく過程、そしてできれば戦後東アジアにもたらした遺産(レガシー)を概観する。

(到達目標)
スポーツというテーマはまだ歴史学ではまっとうな扱いを受けていないが、東京オリンピックや北京冬季オリンピックの状況が示すように、近現代社会を考えるうえで重要なテーマとなるはずである。そんなスポーツ史の魅力と可能性を伝えたい。

(授業計画と内容)
下記の内容について論じる。準備の都合や時々の状況により内容は多少出入りすることがある。
1.日本(内地)のスポーツ(4週)
2.朝鮮のスポーツ(2週)
3.台湾のスポーツ(2週)
4.満洲のスポーツ(2週)
5.帝国日本のスポーツ(3週)
6.帝国日本の遺産(2週)

中砂明徳 近世世界におけるカトリック教会の位相

 

(授業の概要・目的)
17世紀のフランドルのイエズス会士、Cornelius HazartのKerckelycke historie van de gheheele werelt『世界教会史』第一巻を読むことで、近世世界におけるカトリック教会の位相を探る。全四巻からなる本書のうち、第一巻にはヨーロッパ外の各地域におけるカトリックの布教状況が取り上げられる。著者はプロテスタントに対してポレミカルな著作を多く残しており、本書執筆の意図もそこにあるが、ここではそうした宗派的文脈よりも、イエズス会そしてカトリック教会の世界布教の構図を浮かび上がらせる材料として本書を読み解きたい。

(到達目標)
1,イエズス会のグローバルな活動を通じて近世世界の輪郭が把握できる
2,各地間の布教状況の差異から、比較史的考察が可能になる。

(授業計画と内容)
1,著者について
2,日本(1) オランダ人の記録
3,日本(2) 布教
4,日本(3) 迫害
5,中国(1) 開教
6,中国(2) 発展
7,ムガル
8,南インド
9,ペルー
10,メキシコ
11,ブラジル
12,フロリダ、カナダ
13,パラグアイ、マラニャン
14,アダム・シャール
15,フィードバック

古松崇志 中国石刻史料の研究

(授業の概要・目的)
中国史研究において、石刻史料はきわめて重要な史料群である。本講義では、中国本土およびその周辺の石刻史料を取り上げ、歴史研究に利用するための手法を、実際に受講生が史料(京都大学人文科学研究所所蔵の拓本実物を含む)を読み解きながら学んでいく。

(到達目標)
漢語で書かれた中国石刻史料の史料としての特性を理解し、研究手法を学びとって、みずからの研究に活用できるようにする。

(授業計画と内容)
1.ガイダンス(1回)
2.石刻学・石刻研究史の概観(2~3回)
3.石刻史料へのアクセス(伝統的な石刻文献を含めた典籍文献、新出史料集、ウェブ上のデータベースなど)概観(2~3回)
4.石刻史料釈読(7~9回)
5.まとめ(1回)

※釈読する石刻史料は、担当者の専門分野の契丹(遼)・宋・金・元(モンゴル帝国)時代のものを中心に取り上げる予定だが、適宜受講生の関心に応じた史料を読むことも検討している。また、担当者が勤務する京都大学人文科学研究所所蔵の拓本を実見する機会を設けるほか、できるだけ拓影(拓本の写真)のあるものを用いるが、典籍文献(伝統的な石刻文献や地方志、文集など)のみに載せられているものも適宜取り上げる。
※基本的に以上の予定にしたがって講義を進めるが、回数など変更の可能性があることに留意されたい。

辻正博 隋唐王朝の国制―概観と淵源

(授業の概要・目的)
古代日本にも多様な形で影響を与えた隋唐王朝の国制(統治機構)については、これまで膨大な研究の蓄積がある。この講義では、北朝末から唐代前期までの政治制度について、政治史の動向にも目を配りつつ、概観する。ともすれば、静的なイメージで捉えられがちなこの時代の政治制度が、大きな変貌を遂げていることを改めて認識していただければと思う。

(到達目標)
古代日本の「律令制」に大きな影響を与えた隋唐時代の国制について、その背景となった政治動向を踏まえ、総合的に理解する。

(授業計画と内容)
以下の各項目について、おおむね2週を目途に講義を進める。
なお、初回授業(ガイダンス)時に、学期の授業計画および講義で必要される諸事項について説明を行うので、必ず出席すること。
1.隋唐王朝の成立事情と国制
(1)周隋革命と開皇の国制
(2)唐王朝の成立事情と唐初の国制
2.開元官制の成立―『周礼』とのかかわり
(1)中央官制
(2)地方官制
3.隋唐の律と令
(1)律
(2)令
4.礼制
5.軍制
6.税役制度
7.まとめとフィードバック

太田出 中国近世の訴訟と地域社会

(授業の概要・目的)
明清時代を対象とする中国近世の法制史研究では、近年、地域社会において実は訴訟を起こすこと自体がかなり身近なものであり、「健訟」(盛んに訴訟を行う)と呼ばれるような状況が現出していたことが明らかにされている。本講義では、明清時代の裁判機構、法典、裁判文書について概要を説明した後、明清時代の裁判の性格をめぐる議論を整理しながら、地域社会の秩序形成を紛争と調停、判決の性格といった視点から捉えなおしてみる。史料としては、基本法典のほか、行政最末端の地方官庁レヴェルの裁判史料、さらに司法官が自らの名裁きを誇示するために出版した判決集=判牘を用いることにする。

(到達目標)
中国近世の法と裁判について基本的な事項を理解するとともに、古典漢文や中国語史料の読み方・使い方を学び、自ら史料分析を行う能力を養う。

(授業計画と内容)
第1回:ガイダンス
第2回:明清時代の裁判機構
第3回:明清時代の法典
第4回:明清時代の裁判文書(一)──中央档案と地方档案
第5回:明清時代の裁判文書(二)──判牘
第6回:明清時代の紛争と調停
第7回:明清時代の判決の性格
第8回:明清時代の人々にとって訴訟はどれぐらい身近なものだったか?
第9回:誰が訴状を書いたか?──代書
第10回:当時、弁護士はいたか?──訟師
第11回:訴訟関係者はどのようにして呼び出されたか?──胥吏・衙役
第12回:訴訟関係者はどこに宿泊したか──歇家
第13回:州県行政から見た裁判と徴税
第14回:明清時代の訴訟と地域社会
第15回:フィードバック

承志 マンジュ語『内国史院档』の研究

(授業の概要・目的)
マンジュ語『内国史院档』は、ダイチン=グルンの成立の歴史を研究する上で最も重要な原典史料であり、ジュシェン(女真)人のマンチュリア支配から中国本土支配への移行期の歴史を正確に把握するためにも必読の基本史料である。この授業では、マンジュ語の原典に基づいて文献解説と講読を行う。初回の授業では世界におけるマンジュ語史料の保存状況と研究の実態、必要な辞典類・目録・索引・史料集および主なマンジュ語史料のデジタルデータなどを紹介する。最終回ではまとめを行う。3-14回の授業では史料の読解、参加者との質疑・討論を行う。

(到達目標)
・マンジュ語史料の研究方法を習得できる。
・マンジュ語の基礎的な文法を学ぶことができる。
・史料を読み解くことができるようになること。

(授業計画と内容)
第1回 イントロダクション
第2回 『内国史院档』の研究史とその内容
第3回~14回 『内国史院档』の読解、参加者との質疑・討論
第15回 まとめ

矢木毅  朝鮮史詳説(近世篇3)

(授業の概要・目的)
朝鮮時代後期(17~18世紀)の政治史・外交史を概観し、近世朝鮮社会の特質について考察する。漢文史料の読解能力を高めるとともに、東アジア世界(特に中国・日本)の歴史と関連づけながら朝鮮の歴史を理解することを目的とする。

(到達目標)
基本史料(漢文)を読解して平易な現代日本文で説明する能力を養う。また、その史料の背景となる政治や社会の特質を理解し、現代社会との対比において説明する能力を養う。

(授業計画と内容)
第1講 朝鮮時代史とその史料
第2講 礼訟の時代
第3講 己亥・甲寅の礼訟
第4講 庚申の獄
第5講 老論と少論
第6講 唐米の輸入
第7講 荒唐船の出没
第8講 常平通寶
第9講 新銀問題と対日外交
第10講 正徳度通信使
第11講 定界碑
第12講 萬東廟と大報壇
第13講 家禮源流と斯文處分
第14講 丁酉獨對
第15講 まとめ(史料講読)

吉本道雅  秦史研究序説

(授業の概要・目的)
1970年代以降の秦簡の出土により、前3世紀後半については、従来とは比較を絶する緻密な秦史の実態が解明されつつある。対するに、前3世紀半ば以前の秦史に関する認識は、『史記』になお最も大きく依存している。本講義では、戦国後期~前漢前期における秦史認識と比較することで、『史記』の秦史認識の特徴ないし独自性を確認する。

(到達目標)
中国古代史研究の最新の知見、および中国古代文献の批判的分析の方法論を習得する。

(授業計画と内容)
以下の項目を逐次論ずる。
第1回 序論
第2回 秦史記述の疎密
第3回~第4回 秦の起源
第5回 秦の建国
第6回 穆公
第7回 秦=戎狄説
第8回 献公
第9回~第10回 孝公~荘襄王
第11回~第14回 統一秦
第15回 結論

*フィードバック方法は授業中に説明する。

箱田恵子  清末中国における近代外交の形成

(授業の概要・目的)
この講義では、清末中国における対外姿勢の変容、近代外交の形成過程について、とくに米国との関係を中心に解説する。中国の漸進的改革の支援を主張した協力政策や留美幼児(米国への官費留学生)の派遣、米国による門戸開放主義の提唱と留美幼童出身者を中心とした清朝外務部の反応など、米清間の友好関係や米国の対中政策が清末の中国外交に与えた影響を考察する。それと同時に、米国における中国人移民排斥とそれに対する反米ボイコット運動など、対米関係が中国における愛国主義形成に与えた影響も取り上げ、清末中国における対外姿勢が、夷務から洋務、外務、そして民族主義的な外交へと変化していくことを考察する。

(到達目標)
受講生はまず、清末中国をめぐる国際関係を理解し、さらに特殊な関係と呼ばれる米中関係が、中国における近代外交の形成に与えた影響を理解し、近代中国と諸外国との関係をより広い視野から理解する。

(授業計画と内容)
基本的に以下の予定にそって講義を進めるが、講義の進み具合や受講生の理解などに応じて、講義内容の順序や同じテーマの講義回数を調整することがある。

1.前近代における清朝の対外態勢
2.米清関係の始まりと相互イメージ
3.協力政策とバーリンゲーム使節団
4.留美幼児の派遣
5.米清の友好関係と移民問題
6.新しい移民条約をめぐる交渉
7.清朝の対外紛争と米国の周旋・仲介・仲裁の試み
8.日清戦争後の変化と門戸開放通牒
9.義和団事件
10.米清通商航海条約交渉と自開商埠
11.日露戦争への対応
12.反米ボイコット
13.門戸開放政策と満洲問題
14.ドル外交とその影響
15.外務から外交へ

上田 信  史的システム論に基づく東ユーラシア圏域史

(授業の概要・目的)
 人類はいま歴史的な転換点に立っている。地球温暖化に起因する異常気象、COVID-19などのパンデミック、深刻な経済格差、民主主義の機能不全と権威主義の台頭、さらに全人類の人口がまもなく減少に転ずると予測されている。私たちはよりよい一歩を踏み出すために、長期に亘る歴史的な展望を持つ必要に迫られている。
 本講義では展望を得るための方法論として「史的システム論」を提示し、日本が立地する空間軸として「東ユーラシア圏域」を措定する。現在を相対化する時間軸として16世紀から20世紀までを範囲として、下記のトピックを取り上げて検討する。
 ① 明代民間知識人が観た日本
 ② 人口の視点で見た17世紀以降の中国・朝鮮・日本
 ③ ペストをめぐるアジアの歴史

(到達目標)
地球全体の歴史を俯瞰する視点(鳥の目)と地域社会の歴史から仰視する視点(虫の目)とを架橋しうる知的な跳躍力を身につけ、自らの思索と実践に活かせるようにする。歴史的に生起するさまざまな事象について、モノ・ヒト・イミの次元から、全体的に分析していく力を養う。

(授業計画と内容)
第Ⅰ部(初日)史的システム論と東ユーラシア圏域
 第1回 システム論的な思考法
 第2回 モノ・ヒト・イミの3つの次元
 第3回 東ユーラシア圏域と生態環境
第Ⅱ部(2日目)明代民間知識人が観た日本
 第4回 ヒト(人物)の歴史
 第5回 16世紀の海域アジア
 第6回 明代知識人の諸相
 第7回 鄭舜功『日本一鑑』を読む
第Ⅲ部(3日目)人口から観た17世紀以降の中国・朝鮮・日本
 第8回 歴史人口学的研究の方法
 第9回 18世紀中国の人口爆発はなぜ起きたのか
 第10回 20世紀から現在にいたる中国人口史
 第11回 朝鮮と日本の人口史
第4部(4日目)ペストをめぐるアジアの歴史
 第12回 雲南の風土病から世界的パンデミックになるまで
 第13回 関東軍731部隊による細菌戦
 第14回 戦争における責任について考える
総括
 第15回 人類史上の転換期における歴史学の役割

演習内容【演習】

石川禎浩 中国共産党の歴史決議を読む

(授業の概要・目的)
中国共産党は結党100周年にあたる2021年に、党の歩みを振り返る文書を決議として採択した。これは同党の歴史上、歴史について出された三つ目の決議ということになる。この授業ではまず、以前の1945年、1981年に採択された二つの歴史決議がどのように制定され、どのような内容と目的を持っていたかを明らかにする。とりあえずは、二つの決議を読解・分析し、決議で述べられているそれぞれの歴史事象がどのようなものだったかを調べ、党の歴史のアウトラインをたどることにする。

(到達目標)
中国共産党の基本的文献である歴史決議を精読することによって、単に中に書かれていることの概要を知るだけでなく、それら歴史事象と党の時々の党の活動(政治運動)がどのような関係にあったかを知ることができるだろう。歴史決議というそれ自体が歴史文書である文献の精読を通じて、歴史とその歴史への評価・認識の両者を重層的に把握することができるようにする。

(授業計画と内容)
1-2回 基礎的事項のイントロダクションと中国共産党党史の基本的図書・資料の解説をし、授業全般へのオリエンテーションを行う。受講生の顔ぶれを見ながら、担当すべき箇所を割り振る。
3-8回 1945年に採択された「若干の歴史問題に関する決議」をテキストとして、受講生がそれぞれに割り当てられた決議の中から興味を感じた部分について順番に報告を行い、討議を行う。
9-14回 1981年に採択された「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」をテキストとして、受講生がそれぞれに割り当てられた決議の中から興味を感じた部分について順番に報告を行い、討議を行う。
15回 第1、第2の決議に関して総合討論を行う。

中砂明徳 The “Global”and the “Local” in Early Modern East Asia

(授業の概要・目的)
プリンストン大学、復旦大学、そして東京大学の研究者たちが、グローバル・ヒストリーの可能性、東アジアにおけるグローバル・ヒストリーの研究・教育の意義を論じた論文集(2017年刊行)を読む。グローバル・ヒストリーは現在、世界的に盛行しているように見えるが、国によってその研究・教育が置かれている状況はさまざまである。本論文集を読むことで、日本におけるグローバル・ヒストリー研究を相対化することもできるかもしれない。ラインナップは次の通り。

Zhaoguang Ge(葛兆光):Is There Still Value in National History in the Trend towards Global History?
Federico Marcon: Is a World History of Ideas Possible?
Takahiro Nakajima (中島隆博):Conditional Universality and World History in Modern Philosophy in East Asia
Masashi Haneda(羽田正): A New Global History and Regional Histories
Benjamin A. Elman: A Jointly Regional-Global Approach to Rethinking Early Modern East Asian History
Jin Sato(佐藤仁):Internationalization from Within: 140 Years of Internationalization at the University of Tokyo
Yunshen Gu(顧雲深): Innovation ;A Case Study of the Development of World History in the History Department of Fudan University
Shaoxin Dong(董少新):The Pros and Cons of the Construction of a Historical World
Norihisa Baba(馬場紀寿):From Sri Lanka to East Asia: A Short History of a Buddhist Scripture
Tineke D’Haeseleer: ‘Nobody Changed Their Old Customs’;Tang Views on the History of the World
Xinlei Wang(王鑫磊): The Korean Response to Xue Xuan’s Enshrinement in Ming Confucian Temples
Yasushi Oki(大木康):Literature of the Sixteenth and Seventeenth Century World
Paize Keulemanns: Tales of an Open World: The Fall of the Ming Dynasty as Dutch Tragedy, Chinese Rumor, and Global News
Zhenzhong Wang(王振忠): The Regulation of Sailors in the Maritime Trade between Jiangnan and Nagasaki in Early Qing China
Sheldon Garon: The Transnational History of Japanese Thrift

(到達目標)
1,グローバル・ヒストリー研究の潮流を知ることができる。
2,アメリカ・中国・日本の研究のスタンスの違いを知ることができる。

(授業計画と内容)
1、趣旨説明
2~14回 受講生が上記の論文から各1本を選択して内容を紹介、批評する。
15回 フィードバック

中砂明徳 茅元儀『石民四十集』の書簡を読む

(授業の概要・目的)
明末に『武備志』という浩瀚な兵書を著したことで知られる茅元儀の文集『石民四十集』に収録される書簡を主に読む。今年度は天啓七年(1627)から崇禎四年(1631)までの書簡と上奏を読む。新しい皇帝が即位すると、彼も再浮上し、いったん失脚したものの、再び戦いの前線に立つことになる。しかし、それもつかの間に終わり、福建に流罪となる。彼の人生の中でもとりわけ起伏の激しい時期であり、明朝にとっても激動の時期であった。この授業では、彼の視点を通して崇禎初年の明朝国家のありようを眺めることも目的としている。

(到達目標)
1、白文テクストを読むことで、自力で句読する能力が身に付く。
2、書簡を歴史史料としてどのように読むべきかを知ることができる。
3、明人の政治・文化観を知ることができる。

(授業計画と内容)
進度については、受講生次第なので、確言できない。第1回目に、これまで五年間本書を読んできたことをもとにした解説を行い、新規受講者に予備知識を与える。
以下、2回目~14回目まで、毎回書簡を1本ないし2本を読む。
15回目 フィードバック

吉本道雅  『春秋左伝正義』

(授業の概要・目的)
十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を輪読する。

(到達目標)
漢文資料を文法的に正確に読解する能力を身につけるとともに、経学(中国古典注釈学)の基礎的な方法論・春秋時代史の研究資料としての活用法を理解する。

(授業計画と内容)
昨年度の続き。魯の年代記の形式を採る『春秋』と、その注釈書の形式を採る『左伝』は春秋時代を研究するための基本的な資料である。『春秋』『左伝』の成立過程については今なお活発な議論が進行中である。『左伝』には、西晋・杜預の『春秋経伝集解』、唐・孔頴達の『正義』が附されている。本演習では『正義』を精読することで、漢文を文法的に正確に読解する能力を養うとともに、『正義』の引用する唐代以前の諸文献を調査し、また『正義』の論理構成に習熟することによって、経学の基本的な方法論を理解する。また、先秦期の文献・出土資料を全面的に参照することによって、『春秋』『左伝』の成立過程についても考察し、先秦史研究の資料学的素養を身につける。
第1回~第15回 『春秋左伝正義』の輪読
*フィードバック方法は授業中に説明する。

吉本道雅  中国古代史史料学

(授業の概要・目的)
銭穆『先秦諸子繋年』を輪読し、関連史料・研究を批判的に検討する。

(到達目標)
中国古代史研究に関わる文献・出土文字資料・考古学的資料の運用能力を向上させる。

(授業計画と内容)
昨年度の続き。従来の戦国史(453-221BC)研究は、戦国後期の秦史に偏しており、戦国前・中期や六国については、資料の絶対量の乏しさに加えて、『史記』紀年の混乱が、歴史的推移の時系列的把握を困難にしてきた。1990年代以降の戦国楚簡の出現は、とりわけ思想史的研究を活発化させているが、かえって文献に対する研究の立ち後れを露呈させている。本演習では、銭穆『先秦諸子繋年』(香港中文大学、1956)を輪読し、関連史料・研究を批判的に検討することによって、中国古代史研究に関わる文献・出土文字資料・考古学的資料の運用能力を向上させる。
第1回~第15回 『先秦諸子繋年』の輪読
*フィードバック方法は授業中に説明する。

高嶋航  梁啓超『飲冰室合集』選読

(授業の概要・目的)
梁啓超の文集『飲冰室合集』から重要な文章を選読する。

(到達目標)
近現代中国を考えるうえで、梁啓超を避けて通ることはできない。新しい文体によって、梁が切り拓いた新しい地平は、いまから見れば、近代以降の中国の政治、学術、社会の基盤を提供するものであった。
梁啓超の文章を正確に理解することが第一の目標である。さらにすすんで、当時の知識人たちが抱えていた問題意識、世界観、日本の影響などを読み解くことが第二の目標である。

(授業計画と内容)
初回はガイダンスで二回目から読み進める。梁啓超の著作集『飲冰室合集』から、適当な文章を選んで読んでいく。
一回に二頁程度読む。履修者には、原文を現代中国音で読み、訳注を作成することを課す。
一五回目はフィードバック