東アジア「間文化」第18回研究会のご案内

皆さまには如何お過ごしでしょうか。

東アジア「間文化」第18回研究会は、佐々木史郎氏(国立アイヌ民族博物館・文化人類学)をお招きし、下記の要領で開催することとなりました。

継続参加の方はもちろん、初めての方もお気軽にご参加頂けたらと存じます。

 

日時:2024年3月18日(月) 14:00~16:40(京都);13:00~15:40(上海・香港)

開催方式:対面、オンライン(Zoom)

会場:第6講義室(文学部棟)

  交通アクセス « 京都大学大学院文学研究科・文学部 (kyoto-u.ac.jp)

※使用言語:講演(日本語);質疑応答(中国語・日本語)

*講演と質疑・討論の際は、逐次通訳(日本語=中国語)あり

(通訳:馮心鶴(京都大学大学院文学研究科博士後期課程))

 

プログラム(京都時間)

14:00~14:05 挨拶・講師紹介:田中 和子

14:05~16:05 講演佐々木 史郎(国立アイヌ民族博物館・館長)

題目博物館におけるアイヌ民族の自文化表象—国立アイヌ民族博物館の展示から

要旨:国立アイヌ民族博物館は、国が主導して設立された国立博物館である。しかし、同時に白老のアイヌ民族が自ら設立した博物館(アイヌ民族博物館)の系譜に連なる。というのは旧アイヌ民族博物館の人員と所蔵資料を受け継いでいるからである。また、その設立準備に際しては、白老や二風谷などのアイヌ民族出身の工芸家や博物館関係者が展示の設計と展示物の製作に深く関わっている。

この国立博物館の展示では基本的にアイヌ自らが自分たちの文化を紹介するという形式が取られている。準備段階で文化庁に設置された展示検討委員会の下に設けられたワーキング会議では白老、二風谷、札幌在住のアイヌ民族出身の工芸作家、博物館学芸員、大学教員などが入っており、12人の委員のうち5人を占めていた。そして、彼らの意見が採用されて、基本展示(常設展示)の6つのテーマをすべて「私たちの〇〇」という形でアイヌが自分たちの文化を紹介するという体裁とした。さらに展示する資料の選定、演示方法、解説文作成なども、ワーキング会議のメンバーや2015年秋に設置された博物館設立準備室の職員となったアイヌ民族出身の研究者、博物館経験者、文化伝承者たちが中心となって行った。特に解説文では、アイヌ語を第一言語に設定するという原則に則って、まずアイヌ語でテキストが作成され、それを日本語、英語、中国語、韓国語に翻訳するという形で進められた。

しかし、形式的にはアイヌ民族が自らの文化を語るという体裁はとっていても、内容的にどこまでアイヌの主張や本当にいいたいことが盛り込まれているのか、疑問視する声もある。本報告では博物館設立準備室の現場責任者として基本展示室の製作過程を直に見てきた経験から、国立アイヌ民族博物館の基本展示のどのような所にアイヌの視点がよく表れ、どのような点が不十分だったのかを検証していきたい。また、そのアイヌの視点による展示が、博物館の理念の一部である「アイヌの歴史・文化等に関する正しい理解と認識を促進する」ことにどこまで貢献しているのか(来館者に理解されているのか)についても検証してみたい。

(休憩 5分)

 

16:10~16:40  質疑・討論

コメンテータ:張佳(復旦大学文史研究院・研究員)、鄭德長(復旦大学文歴史研究院・青年副研究員)

 

参加を希望される方は、3月11日(月)までに、下記のgoogle formから申し込みしてください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeeddVa400JQyo91annPWiisQMtxytKe_QOpSXZ77IZvJzi3g/viewform?usp=sf_link

 

 

問い合わせ窓口:池田恭哉(中国哲学史専修)

ikeda.yukiya.2c[at]kyoto-u.ac.jp([at]を@に替えてください)

*会場までの交通費等は、各自でご負担ください。多人数になる場合は、調整させていただきますので、どうぞご了解ください。

 

なお本研究会は、2020年度に京都大学大学院文学研究科附属文化遺産学・人文知連携センターにより採択された「人文知連携共同研究会」を継続して開催されるもので、科学研究費(22H00759/前近代日本の「万国人物図」群が示す人種観と世界観に関する総合人文学的研究(基盤B))の助成を受けています。

 

研究会幹事:池田恭哉(中国哲学史専修)、成田健太郎(中国語学中国文学専修)、

筒井忠仁(美学美術史学専修)、田中和子