links students ito uchii newsletters gallery English index index

Error Statistics

For the Newcomers

学部生のために、メイヨーのこの本の着眼点と主要テーマを簡単にまとめておく。

メイヨーの「誤謬統計」的アプローチ

(1)科学理論の確証あるいは受容はどのような手続きによって行なわれるか

ベイズ主義の確証理論に対する対抗馬として、ネイマン-ピアーソンの統計的検定法の路線を継承する別の考え方ができる---誤謬統計的方法論。 ベイズ主義では、仮説や理論に対する主観確率が与えられ、観察や実験によってデータが得られたときの仮説や理論の事後確率があがることをもって「確証」とみなす。これに対して、メイヨーの誤謬統計の考え方では、仮説や理論自体の確率を言うことには意味がないとみなされるが、仮説の「信頼性」には意味があるとされる。それは、仮説をテストする手続き(手続きはこの仮説だけでなく、他の多くの仮説をテストするときにも繰り返し使われる)の信頼性から派生する。その信頼性をはかる指標となるのが「誤りの確率」であり、これを体系的に扱って利用するのが誤謬統計にほかならない。

(2)科学において、実験的知識の役割はいかなるものか

ポパーや新科学哲学では、理論の役割を重視するあまり実験的知識の役割がないがしろにされ、偏った見方に陥っている。実験的知識はおおむね累積的に蓄積され、多くの場合理論には必ずしも依存しない展開をたどる。その核となるのが、誤りを避けるための手続きや方法である。誤りの確率に基づいて、実験結果や仮説の信頼性が十分に測れる。ポパーが強調したがほとんど解明できなかった「テストの厳しさ」の意義は、誤りの確率に基づいて十分に再構成できる。厳しいテストを切り抜けた仮説は、それに応じて高い信頼性を得る。なぜそうなるか、というメイヨーの解明(成功しているか?)が見所の一つ。

メイヨーの本の大きなメリットは、仮説の確証や実験的知識の問題を、抽象的にではなく具体的に、そして実際の科学の事例に即して扱っているところにある。このウェッブの教材でもわかるように、典型的な統計的検定の例、気体分子運動論の実験的検証、相対性理論からの予測の検証など、興味深い事例がいくつかでてきて勉強になるはずである。「科学哲学者は科学を知らない」などと高慢な科学者(哲学や科学史に関しては素人ではないの?)にイチャモンをつけられないように、この程度のことは知っておかなければならない。


(1) Don't be afraid of mathematical formulas; knowledge of probability theory required for understanding Mayo's argument is elementary. Elementary knowledge may be obtained from the following books:

内井惣七『科学哲学入門』第6章ほか

繁舛算男『ベイズ統計入門』東大出版会

石川幹人『サイコロとExcel で体感する統計解析』共立出版(数学は苦手だがコンピュ−タを触るのは好きだという初心者向き。統計学の基本概念も何とかわかるように工夫されている。マックユーザーの場合、Excelを持っていなくとも、クラリス・ワークスの表計算ソフトを使っても、ある程度実習できるはず。)

(2) Review the materials (in advance) provided so far (follow the links on the main page). You don't have to be able to understand everything in these materials. Important topics will recur, and ask me or other senior students when those topics appear again in the course of reading.

As regards knowledge in science, suitable materials will be supplied on the web, as you can see on this page. And you should acquire such knowledge whenever relevant topics appear in the course of reading. Don't say "Let me study tomorrow"; do it right now!

(3) Diligence and persistence are the most important. I assure, if you wish to skip the class a couple of times a month, you will inevitably drop out!

(4) Finally, if you feel that reading English materials about 20 pages a week is too much, you should quit the university right away!


INDEX- CV- PUBLS.- PICT.ESSAYS- ABSTRACTS- INDEX・LAPLACE- OL.ESSAYS-CRS.MATERIALS


Last modified April 12, 2001. (c) Soshichi Uchii

suchii@bun.kyoto-u.ac.jp