
アインシュタインの思考をたどる──相対性理論の完成まで
(京都大学春秋講義、2002年秋、10月16日、のためのレジメ)
あらすじ 特殊相対性理論(1905年)の基本をできるだけわかりやすく解説し(第一部)、特殊相対性理論から一般相対性理論(1915年)へ至る道筋──細かい脇道を省いた本線──を、アインシュタインの実際の歩みに即して示す(第二部)。 (なぜ、物理学の専門家でもないわたしがこんな話をするか?一般相対性理論については、[日本の] 専門家による懇切丁寧な解説が見あたらないので、誰かがやらなければならない。)
第一部 特殊相対性の論理(二つの原理を組み合わせた天才の一筆)
- 力学と電磁気学の奇妙な折り合い
- ガリレオの相対性
- 電磁気学では?─1905年論文、冒頭の指摘
- 二つの原理をおく
- 古典力学における空間と時間─(1)ニュートンとライプニッツ、(2)アインシュタインの見方
- 特殊相対性理論での空間と時間
- 時空の見直しから何が?
- 力学と電磁気学の折り合いは?
- ミンコフスキ時空
- 特殊相対性を特徴づける幾何学─ローレンツ幾何学

第二部 特殊相対性から一般相対性へ(重力のために十年!)
- 特殊相対性はなぜ不十分か?
- 重力をいかに扱うか
- 重力を場を通じた近接作用とみる
- 「わが生涯の最もすばらしい考え」
- 自由落下は慣性系に等しい
- 慣性質量と重力質量
- 等価原理
- 等価原理の使い方
- 等価原理を導きの糸として
- 加速系を局所ローレンツ系で次々と近似
- 曲がった座標
- 等価原理の別の表現
- 重力場では光も曲がる
- 重力場での時計の進み
- 重力場でのスペクトル赤方偏移
- 重力場では光速も変わる
- 大きな壁
- 回転する円盤での時間
- 回転する円盤での空間
- 曲がった空間
- 重力の記述は、非ユークリッド、非ローレンツ幾何学を要す
- ガウス─曲面を内在的に扱う方法
- ガウス座標
- 直交座標とガウス座標の対比
- 重力場はメトリックで表現可能
- 曲率を測る
- 曲率の別の(外的)測りかた
- リーマンがガウス座標を一般化
- では、アインシュタインは何を?
- ここまでのまとめ
- 地球内部の時空
- 球面状の重力場
- 地球の外側は?
- 座標変換すれば?
- 一般共変性
- 座標変換→法則も同じく変換
- 弘法にも筆の誤り、アインシュタインにも思考の混乱
- 特殊相対性原理、再考
- 時空、記述の違いと種類の違い
- 空間の種類
- 相対性原理はどうなったか?
- 「一般相対性原理」は多義的!
- おわりに
[39には簡単にたどり着いたわけではない。2年以上の迂回があったが、その事情には今回はふれない。]
実際の講演では、おそれていたとおり、時間が足りなくなって、一段落つく22節までしか話ができなかった(やはり、相対性理論を一般の方々向けに解説するのは難しい)。つまり、一般相対性に向かう基本的な発想の部分だけ(上図)で終わり、それを実現していく過程で次々と積み重ねられていったアインシュタインの新たな洞察部分には触れることができなかった。この講演で予定していた内容、およびそれの続編は、現在執筆中の本のなかで公表するつもりである。
『アインシュタインの思考をたどる』(仮題)
目次
- 1. 古典力学と電磁気学から特殊相対性理論へ(1905)
- 2. 等価原理の着想(1907-1911)
- 3. 曲がった時空(1912-1915)
- 4. 穴の謎(1913-1915)
- 5. シュヴァルツシルト幾何学とブラックホール
- 6. 時空の哲学入門
Last modified, Nov. 28, 2002. (c) Soshichi Uchii
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