2013年度 講義題目

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2013年度  講義題目

特殊講義 氣多雅子 火4 西田哲学と現代思想 [授業の概要・目的]  

西田幾多郎の思想が現代の宗教哲学的課題を考察する上でどのような意義をもつかということを、多様な角度から明らかにしたい。

[授業計画と内容]

授業で取り上げたい論点は二つある。一つは、西田の中期・後期の思想において論じられている個人的自己と社会的自己の問題である。西田の考え方を明らかにするとともに、それをG.H.ミードの社会的自我の考え方とつきあわせて、両者の思想の特質と限界を考察する。もう一つは、生命という概念をめぐる問題である。西田の著作には重要な箇所で「生命」という語がしばしば持ち出されている。現代の生命科学の成果や直面する環境問題などを踏まえた議論のなかで、西田の生命の概念がもっている意義について考える。ただし、この授業は予定通りに授業を進めることよりも、担当者が課題を追究しつつ行なう思索の導きに従うことを重視する。

特殊講義 芦名定道 水3 キリスト教思想研究入門 [授業の概要・目的]  

この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説を行う。

[授業計画と内容]

今年度前期は、「キリスト教と宗教哲学」という研究テーマについて、主要な問題や思想家を取り上げることによって説明が行われる。主要な問題としては、伝統的な理性と啓示、悪と神義論、予定と自由意志、形而上学と神などを挙げることができるが、主に近代以降の問題状況が中心になる。シュライアマハー、トレルチ、ホワイトヘッド、ティリッヒ、ブーバー、波多野精一、西谷啓治、リクールらを取り上げる予定である。
 後期は、「アジアのキリスト教思想」という研究テーマについて、多様な文脈を整理しつつ、検討が行われる。日本では、植村正久、海老名弾正、内村鑑三、賀川豊彦など、韓国では、土着化神学、民衆の神学、中国・台湾では、宋泉盛、Pan-Chu Lai、インドでは、Aloysius Pierisなどの思想を紹介し、アジアのキリスト教思想研究の可能性を探りたい。

特殊講義 安藤泰至
前期
集中講義
現代社会における死生の問いと宗教 [授業の概要・目的]  

宗教はこれまで、今・ここで生きる人間にとっての「生とはなにか?」「死とはなにか?」という問いを最も根源的なかたちで問うてきたと言えよう。しかし、現代社会において、そうした死生の問いは医療技術などによる広い意味での生命操作によって深く浸食されており、そうした事態は現代の生命倫理問題において最も典型的に表れている。生命倫理の諸問題は、表面的には非常に新しい倫理問題のように見えて、実は医療や生命科学技術の飛躍的な進展のもとで、人類が宗教において問い続けてきた伝統的な死生の問いをいま一度新しいかたちで問い直すものであるとも言える。本講義では、生命倫理におけるさまざまな具体的な事例をもとに、それらが利害の調整やそのための手続きを主とする既存の生命倫理学ではとらえきれない、根源的な死生の問いを私たちに投げかけていることについて、受講生とともに考えてみたい。

[授業計画と内容]

4日間の集中講義のうち、前半の2日間は主として「いのちの始まりをめぐる生命倫理問題(妊娠中絶・生殖補助技術・出生前診断など)」、後半の2日間は主として「いのちの終わりをめぐる生命倫理問題(脳死臓器移植・安楽死・終末期医療など)を取り上げる。
それぞれのテーマについて、単になにが問題になっており、いまどのような議論が行われているのかについての「解説」に終わるのではなく、受講生といろいろやりとりやディスカッションをしながら、各人の生活、人生における実感をもった問いとしてこうした諸問題を受け止めていけるように講義を進めたい。

演習 氣多雅子 火5 M. ハイデッガー「フライブルク講演」を読む [授業の概要・目的]  

ハイデッガーの「フライブルク講演」をテキストとして演習を行う。哲学のテキストの読み方を訓練するとともに、後期ハイデッガーが思考の根本命題をめぐって行なった透徹した思索について理解を深める。

[授業計画と内容]

「フライブルク連続講演思考の根本命題」(1957年)は、後期ハイデッガーの思想を示す代表的な著作の一つである。そこで展開されているのは、古代ギリシアから思考の根本命題(同一律、矛盾律、排中律)と呼ばれて来たものを、その成立の基盤から掘り起こし根柢から経験し直してゆく、比類ない思索の試みである。授業では、毎回担当者を指名して読解し、その内容について一緒に考えてゆく。

演習 杉村靖彦
後期
 水5
レヴィナスの哲学コレージュ講演原稿を読む [授業の概要・目的]  

現在刊行中のレヴィナス著作集の第2巻 (Oeuvres 2, Parole et Silence et autres conférences inédites au
Collège philosophique, Grasset/Imec, 2011) には、ジャン・ヴァール主宰の哲学コレージュでレヴィナスが1947年から1964年までに行った講演原稿の大半が収められている。これらの原稿は、初期の代
表作『実存から実存者へ』(1947) から主著『全体性と無限』(1961)の時期までのレヴィナスの道程を如実に伝える貴重な資料である。本演習では、いずれかの講演を選び、公刊著作との内容的な連関をたえず確認しながら精読していく。この新資料の読解を通して、『全体性と無限』に結実するまでのレヴィナスの思索の紆余曲折を照らし出し、新たな解釈へとつながりうる論点を掘り起こしていきたい。

[授業計画と内容]

最初の授業で、哲学コレージュでレヴィナスが行った一連の講演について最小限の予備知識を与えるべく、教師が解説を行う。その後の授業では、訳読および要約の担当者を決め、1回2-3頁ほどのペースで読み進めていく。

演習 杉村靖彦
後期
金2
M.Hénaff, Le prix de la vérité. Le don, l’argent, la philosophie を読む  [授業の概要・目的]  

 M・エナフはレヴィ=ストロースに関する研究でよく知られているが、哲学と人類学とを往還しつつ注目すべき仕事を次々と発表してきた人物である。2002年刊行のこの著作は、モース以来の人類学における贈与論を哲学知の伝達の無償性という主題に接続した上で、無償の贈与交換と貨幣による等価交換の対比とその歴史的変遷を人類史的なスケールで描いたもので、大きな反響を呼んだ。そこではまた、供儀の営みや超越者への負債感情といった宗教的事象も贈与論的な視点から考察し直されており、贈与や交換という問題を宗教哲学的に問い直す上で導きとなる洞察を数多く含んだ書である。授業では、重要な論点を含む箇所を抜粋して、ある程度の速度で読み進めていきたい。

[授業計画と内容]

最初の授業で、教師がこの著作の全容を解説し、その後は訳読および要約の担当者を決めて、1回4,5頁程度のペースで読んでいく。分野横断的な著作なので、どの面に重点を置いて読み解いていくかは、出席者の顔ぶれを見て決めることにしたい。

演習Ⅱ 氣多雅子
杉村靖彦
金3・4(隔週) 宗教哲学
基礎演習・卒論演習
[授業の概要・目的]  

宗教哲学に関わる基本文献を教師とチューター役の大学院生の解説を手がかりに読み進めていくことで、概論と専門研究の橋渡しになるような知識と思考法の獲得を目指す。また、3回生以上の参加者は、卒論執筆に向けた研究発表を行う。
宗教学専修の学部生を主たる対象とするが、哲学と宗教が触れ合う問題領域に関心をもつ2回生、および他専修学生の参加も歓迎する。

[授業計画と内容]

宗教哲学の基本文献と言えるような著作や論文を数点選び、事前に出席者に読んできてもらう。そして、毎回教師とチューター役の大学院生の解説をもとに、質疑応答と議論を行っていく。また、研究発表の際には、論述の仕方や文献の扱い方なども指導し、論文の書き方を学ぶための機会とする。

演習Ⅱ 氣多雅子
杉村靖彦
金3・4(隔週) 宗教学の諸問題 [授業の概要・目的]  

 演習参加者が、宗教学の諸問題のなかで各人の研究するテーマに即して発表を行い、その内容をめぐって、全員で討論する。研究発表の仕方と討論の態度を訓練するとともに、各人の研究を進展させることが目的である。
 

 [授業計画と内容]

最初の授業で、参加者の発表の順番とプロトコールの担当者を決定する。各人の発表は二回にわたって行う。即ち、発表者は1時間以内の発表を行い、続いてそれについて討論する。発表者はその討論をうけて自分の発表を再考し、次回にその再考の結果を発表して、それについてさらに踏み込んだ討論を行う。したがって、1回の授業は前半と後半に分かれ、前半は前回発表者の二回目の発表と討論、後半は新たな発表者の一回目の発表と討論となる。

講読 鶴真一
前期
後期
木4
Mackie, The Miracle of Theism を読む  [授業の概要・目的]  

・この授業は宗教学関連の原典を読むことを目的とするものです。原典に当たる経験を積んでもらうだけでなく、とりわけ宗教哲学における議論や知識を学んでもらうことを企図しています。
・テキストとして、マッキーの『有神論の奇蹟』を読み進めていきます。マッキー(John Leslie Mackie, 1917-1981)はオーストラリアの倫理学者として有名ですが、この著書は「神の存在証明」に関する議論を一通り解説した上でマッキーの独自の解釈が平易な英語で記述されており、宗教哲学の入門書として最適なものとなっています。

[授業計画と内容]

・事前に担当者を決め、自分の担当箇所を発表してもらいます。担当者は自分の担当箇所を責任をもって訳出し、質問された場合に回答できるよう内容についても十分に理解しておいてください。
・発表内容にもとづいて、読解に関する指摘や考え方について講師から解説を加えます。

講義 氣多雅子 月5 系共通科目(宗教学)講義  
 [授業の概要・目的] 

宗教哲学を中心に、宗教研究がどのような歴史を経て、どのような必然性をもって展開してきたかを明らかにすることによって、宗教学の多様な可能性について考察する。それを通じて、宗教とはいかなる事象であるかということについて、理解を深めることが、この授業の目的である。

[授業計画と内容]

以下のような課題について授業をする予定である。 1.宗教という概念(概念の成立、多義性、変容) 2.「宗教学」という言葉とその多義性(成立の経緯、研究の諸分野) 3..近代以前の宗教研究の歴史(神話的思惟と哲学的思惟、キリスト教と神学) 4.近世における宗教的状況の変容(宗教改革、近代科学の成立、理神論の登場) 5.宗教哲学の成立一(カント哲学の意義) 6.宗教哲学の成立二(シュライアマッハーの思想) 7.宗教哲学の展開(ドイツ観念論) 8.宗教批判の進展とニヒリズム(フォイエルバッハ、ニーチェ) 9.否定性をはらんだ宗教哲学(キェルケゴール、ハイデッガー) 10.日本の宗教哲学(西田幾多郎、波多野誠一、西谷啓治)