研究室案内(大学院生向け)

本研究室は、日本では数少ない科学史科学哲学の専門家成機関として新設された。専任のスタッフだけではカバーしきれない領域については非常勤講師を招いて、広く科学史および科学哲学の問題が扱えるように配慮している。

しかし、専任スタッフの得意とする領域が本研究室の特色となって現れてくることは当然である。顕著な特色を列挙するなら、科学哲学については(1)論理的分析の重視(当専修の学部生には、一階述語論理の完全性証明までをマスターさせる論理学演習が必修になっている)、(2)科学の具体的題材(例えば、確率論、分子運動論、進化論、空間・時間論)に即した哲学的問題の重視、(3)現代的な問題を追究する一方で古典的著作の原典解読も怠らないということが挙げられよう。科学史研究については、(4)ルネサンス期研究および近代の力学形成史の専門家を擁することが最大の特色であるが、(5)医学史に関わるテーマも専門的に研究することができる。(6)在籍する学生・院生諸君の研究テーマ、これまでの卒論・修論などについては、「院生」のぺージを参照されたい。そのほか、(7)近年その必要性が認識されつつある科学技術と倫理の関係などについても、研究を行なうことができよう。

大学院生に要求される条件は、この専修で研究を進めるためには、科学の学説内容を理解できるだけの科学的知識だけでなく、語学力や文献解読の能力という人文学特有の能力も必須だということである。科学を知らずに科学哲学や科学史をやることが無謀であるのと同様、科学の古典的著作を読みこなすための人文学的素養を軽視することも無謀である。例えば、18世紀以前の西欧科学を研究するにはラテン語は必修であるが、そんなことを言う以前に、国語や英語をはじめとする現代語の語学力が使い物にならない学生も散見するので、十分な素養をつけてきてもらいたい。研究テーマによっては、その他の言語を修める必要が出てくるかもしれない。

似たようなことは科学哲学についても言える。時空論をやるには相対論を勉強せずにすませることはできないし、19世紀以後の科学哲学を検討するときに確率論の知識は絶対に必要である。修士課程に入る段階でこういう条件が満たされていることは期待しないが、その条件を自分の研究の必要に応じて将来満たしていくだけの心構えと根気があることは当然期待される。それだけの努力に値する学際的で面白い問題がゴロゴロと転がっているのがこの分野なのである。

また、将来研究者としてやっていく、いかないに関わらず、研究発表やプリゼンテーションの仕方についても、遠慮なく「指導」していく(基本は、「わかりやすく、面白く」、そして声は大きく! 少しはサービス精神も身につけてもらいたい)。

この研究室で研究を志すものには、伊藤教授および伊勢田准教授の得意分野や研究領域をある程度調べておくことをおすすめしたい。研究室に入ったのち、自分の研究計画を進めるのに役立つであろう。