八杉満利子 数理哲学/計算の概念

個人HP

近年、数学における”計算可能性”が、数学研究のひとつの重要なテーマになっています。整数列や有理数列の計算可能性 は、何番目の要素の値は何かが自動的に計算できるもので”再帰関数”と呼ばれます。計算可能実数は計算可能な有理数列で近似され、近似の精度が再帰関数で 計算される実数です。計算可能連続関数は、計算可能な実数列を計算可能実数列に写し、再帰関数で連続の度合が測れるものです。積分は計算可能性を保存し、 微分は保存するとは限りません。不連続関数の計算可能性概念は、関数の定義域の位相を変えて連続関数の計算可能性に還元したり、関数値の有理数による近似 の精度として再帰関数の極限値をとる”極限再帰関数”を認めることにしたり、といろいろです。私の関心事は、再帰関数の極限という、無限遠点でしか値が決 まらない計算が、人間のどのような知的活動によって認められるか、ということです。それが不連続関数の計算可能性概念の基になっているからです。

主要業績

  • Y. Tsujii, T. Mori, M. Yasugi, H. Tsuiki(2009), ’Fine-continuous functions and fractals defined by infinite systems of contractions’, Lecture Notes in Artificial Intelligence vol. 5489, 109-125.
  • T. Mori, M. Yasugi, Y. Tsujii(2009), ‘Fine-computable functions on the unit square and their integral’, Journal of Universal Computer Science, 15, pp.1264-1279
  • 八杉満利子(2008), 「連続体上の計算概念について―再帰関数を超えるもの―」, 『哲学論叢』,第35号, pp.199-209.
  • T. Mori, Y. Tsujii, M. Yasugi(2008),
    ‘Effective Fine convergence of Walsh Fourier series’, Mathematical Logic Quarterly vol.54, pp.519-534.
  • M. Yasugi, Y. Tsujii, T. Mori(2005), ‘Sequential Computability of a Function: Effective Fine Space and Limiting Recursion’, Journal of Universal Computer Science 11-12, pp.2179-2191.
  • M. Yasugi, Y. Tsujii(2005), ‘Computability of a function with jumps: Effective uniformity and limiting recursionTopology and its Applications’ Elsevier Science 146-147, pp.563-582.
  • M. Yasugi, S. Oda(2002), ‘A note on the wise girls puzzle’, Economic Theory 19, pp.145-156.
  • 八杉満利子, 小田宗兵衛(2001)「体系からの脱出―証明論による分析―」, 『科学基礎論研究』, 第28号, pp.87-92.
  • 八杉満利子, 林晋(2002)『お話・数学基礎論』, 講談社(ブルーバックス).
  • 林晋, 八杉満利子訳・解説(2006), 『ゲーデル 不完全性定理』, 岩波書店(岩波文庫).