[D3]渡辺一弘 認識論/確率の哲学

 C.V.[PDF]
日本学術振興会特別研究員DC 2007-

 経済学部出身です。統計学や計量経済学を学ぶうち、不確実な状況下における意思決定の問題を掘り下げて考えたくなり、本 研究室の門を敲きました。
 「確率の哲学」というと一般には馴染みがうすいかもしれませんが、確率や統計は現代科学哲学で盛んに議論されるトピックのひとつです。日常生活でも科学 でも、私たちは決定的な情報を欠いたまま何らかの判断を下す必要に迫られます。そのような場合に事象の「起こりやすさ」の程度を表す尺度として確率が用いられるわけですが、この概念 を正確に捉えようとすると、そこには一筋縄ではいかない難しさが生じてくるのです。たとえば、確率的相関を含むデータの集まりから因果関係を見出すにはど うすればよいか、私たちが「ありえそうだ」というときに持つ信念と数学的確率とをどう関連づけるか、そもそも、経験的データから単一の判断を導く帰納推論 はどのように正当化されるのか・・・。
 こうした問題を考えるために、これまで18世紀スコットランドの哲学者D・ヒュームの認識論や、20世紀初頭イギリスの哲学者F・P・ラムジーの主観的 確率の理論を研究してきました。
 2009年度後期からは本専修博士後期課程を休学し、the University of Nebraska-LincolnのPh.D. Program in Philosophyにて武者修行してきます。これまで学んできたことをベースに、社会科学、とりわけ経済学における因果と確率の概念の取り扱いを研究し ます。

主要業績

渡辺一弘(2008)「ベイジアンネットワークと確率の解釈」(『哲学論叢』, 第35号, pp.130-141)
渡辺一弘(2007)「(書評)Creation: Life and How to Make It by S. Grand」(『Prospectus』, 第10号、pp.67-71).
渡辺一弘(2007)「ヒュームの「理性に関する懐疑論」について」(『哲学論叢』, 第34号, pp.13-24)
Watanabe, K. (2007) ‘Hume’s Probability Revisited’, The2007 Conference of the Australasian Association of Philosophy (AAP 2007), at the University of New England(Armidale), July 2007
Watanabe, K. (2007) ‘Hume on Probability’, ANU-Sydney-Kyoto Probability Workshop, at Sydney University (Sydney), June 2007.
渡辺一弘(2007)「ヒュームにおけるprobabilityについて」(日本イギリス哲学会第36回関西部会例会)
渡辺一弘(2006)「義肢とベルンシュタイン問題–行為における不自由と自由について」(『Prospectus』,第9号、pp.10-19)
渡辺一弘(2006)「ヒューム「理性に関する懐疑論」の論理と含意」(ヒューム研究学会第17回例会)
渡辺一弘(2006)「(書評)『ヒュームの懐疑論』久米暁著」(『哲学論叢』, 第33号, pp.150-3)
渡辺一弘(2006)「(書評)Hume’s Naturalism by H.O.Mounce」(『哲学論叢』, 第33号, pp.154-7)