呉羽真 心の哲学・科学哲学・現象学

日本学術振興会特別研究員DC(京都大学) 2010-2011
日本学術振興会特別研究員PD(立教大学) 2012-
 最近一番興味をもっているのは、「犬の飼い方」という問題です。しかし、いきなりこれについて考えようとしても、いい考えが浮かばないので、動物の心と人間の心の違いというところから考えてみることにしました。
 人間の心も動物の心も進化によって生じた生物学的な現象です。しかし、犬や猫の心と人間の心の間には大きな違いがあります。何より、犬や猫は言葉を話しませんし、言葉でものを考えもしません。犬や猫の心について考えると、人間の心について言えることが、あまり当てはまらないように思えます。
これまでは主に、「心はどこにあるのか」という問題を扱ってきました。現代の心の哲学では、心は頭の中にある、という見方が主流ですが、心は身体を含むと言う人や、心は身体の外まで広がっているという人もいます。「心とは何か」に関する考え方が違えば、それがどこにあるのかに関する考え方も変わってくるわけです。
 しかしこのとき、人間の心を基準に「心とは何か」を考えると、犬や猫に不公平なことになります。むしろ心は進化や文化、発達によって出来上がっていくものであると考えないと、うまくいきません。でもそうすると、「心」という言葉の意味がだんだんぼやけてきます。
考えれば考えるほど、心なんてどこにもない、という結論に心を惹かれてしまうのですが、それだと「犬の飼い方」という問題に対するヒントが得られないので、もう少し考えてみようと思います。

主要業績

論文

  • 呉羽真(2011)「書評:Mark Rowlands, Animal Rights: Moral Theory and Practice (Second Edition) 」(『Prospectus』,第14号,101-107頁)
  • 呉羽真(2011)「内容外在主義と媒体外在主義」(『哲学論叢』,第38号,144-155頁)
  • 呉羽真(2010)「意識の科学的説明における現象学の位置」(『現象学年報』,第26号,101-108頁)
  • 呉羽真(2010)「〈拡張した心〉と認知の全体論」(『哲學研究』,第590号,48-70頁)
  • 呉羽真(2010)「言語起源論と言語の機能――本能説と人工物説――」(『哲学論叢』,第37号,S85-96頁)
  • 呉羽真(2009)「経験の豊かさは何によって測られるべきか――〈大いなる錯覚〉を巡る議論の含意――」(『哲学論叢』,第36号,92-103頁)
  • 呉羽真(2008)「ロボットは反表象主義の夢を見るか?」(『Prospectus』,第11号,11-23頁)
  • 呉羽真(2008)「生活世界における心――意識の問題と現象学の自然化――」(『哲学論叢』,第35号,58-69頁)
  • 呉羽真(2008)「書評:Lloyd, D. Radiant Cool: A Novel Theory of Consciousness」(『哲学論叢』,第35号,242-245頁)
  • 呉羽真(2007)「書評:Petitot, J., Varela, F. J., Pachoud, B. & Roy, J.-M. (Eds.) Naturalizing Phenomenology : Issues in Contemporary
  • Phenomenology and Cognitive Science」(『哲学論叢』,第34号,118-121頁)

    発表

  • 呉羽真(2011)「意識の説明戦略としての〈現象学の自然化〉の諸問題」(東京大学UTCPワークショップ『現象学の自然化』)
  • 呉羽真(2011)「拡張した心と認知の進化」(科学基礎論学会2011年度講演会)
  • 呉羽真(2010)「拡張した認知か埋め込まれた認知か?」(日本科学哲学会第43回年次大会)
  • 加地仁保子・呉羽真(オーガナイザー)・三木那由他(2010)『ワークショップ:言語進化論のためのフレームワーク』(科学基礎論学会2010年度秋の研究例会)
  • 呉羽真(2010)「言語習得と生得性」(科学基礎論学会2010年度秋の研究例会ワークショップ『言語進化論のためのフレームワーク』)
  • 呉羽真(2010) ‘Extended mind and holism of cognition’ (Special Graduate Seminar on Mind, Science and Language: Meeting with Prof. Singh)
  • 君嶋泰明・呉羽真(オーガナイザー)・三木那由他(2010)『ワークショップ:認知における言語の役割を再考する』(応用哲学会2010年冬の研究大会)
  • 呉羽真(2010)「言語起源のパラドックスと人間知性」(応用哲学会2010年冬の研究大会ワークショップ『認知における言語の役割を再考する』)
  • 呉羽真(2009)「意識の科学的説明における現象学の位置」(日本現象学会第31回大会)
  • 呉羽真(2009)「われらサイボーグ?」(応用哲学会第1回年次研究大会)