講義案内

 

 

時間割(令和二年後期)

特殊講義
矢木
特殊講義
古松
特殊講義
高嶋
特殊講義
岩井
特殊講義
石川
特殊講義
特殊講義
宮宅
演習III
高嶋
特殊講義
浅原
特殊講義
江田
演習I
吉本
特殊講義
太田
特殊講義
中砂
特殊講義
吉本
特殊講義
承志
演習
村上
演習
中砂
演習II
中砂
演習
吉本
集中

 

※(学部)は学部生のみ、(院)は原則大学院生のみの科目。

講義内容【特殊講義】

宮宅潔 中国古代人の生活誌(続)

(授業の概要・目的)
新出史料に依拠しつつ、中国秦漢時代の一般庶民や下級官吏が如何なる生涯をおくったのかを、制度的な側面から紹介していく。特に戸籍制度・土地制度・賦税制度などに注目して、国家が如何にして臣民を管理したのかを概説し、それを通じて中国古代の専制国家の姿について、理解を深めることを目指す。
今年度は前年度に引き続き、官僚制度や軍事制度について紹介していく。

(授業計画と内容)
1.ガイダンス
2.前年度のおさらい
3.家族制度
4.教育制度
5.官僚制度
6.徴兵制度
7.婚姻制度

初回のガイダンスの後、各単元を2~3回に分けて講義する。

石川禎浩 中国共産党の100年

(授業の概要・目的)
1920年代初頭に誕生した中国共産党は、きたる2021年に結党100周年を迎える。この間、コミンテルン指導下の革命政党から独立した巨大執政党へと大きく変貌し、その影響力がグローバルなものになる中、この党の100年の歩みを振り返り、党の組成や特性、および中国現代史に与えた影響について概説する。

(授業計画と内容)
1. ガイダンス(中国共産党結党後30年の歩み)
2. 人民共和国建国初期の政策と朝鮮戦争(1950年代前期)
3. 社会主義化への転換と過渡期の総路線(1950年代中期)
4. 反右派闘争と大躍進政策(1950年代後期)
5. 中国共産党の社会統制――単位社会と個人档案
6. 人民共和国の外交(対ソ、対日、対米、対印)と冷戦体制
7. 毛沢東の国家建設構想と社会主義像(1960年代前半)
8. 文化大革命の発生(1960年代後半)
9. 文化大革命の展開と国内政局の混乱(1970年代前半)
10. 毛沢東の死と華国鋒体制――改革開放体制への萌芽(1970年代後半)
11. 改革開放と政治改革の頓挫(1980年代)
12. 改革開放の再起と国際秩序への参加(1990年代)
13. 革命的価値観からの離脱と中国ナショナリズム(2000年代)
14. 中国的スタンダードの確立と拡大(2010年代)
15. フィードバック

高嶋航 身体とジェンダーの中国近代史

(授業の概要・目的)
身体とジェンダーはこれまで中国近代史のなかで十分に取り上げられてきたとはいえない。しかし、日本史や西洋史を見るなら、それが歴史を理解するために重要であることは瞭然である。
本講義では、身体とジェンダーに関するさまざまなトピックを通じて、中国における「近代」の意味を問う。

(授業計画と内容)
以下の各項目について講述する。各項目の講義の順序は固定したものではなく、担当者の講義方針と受講者の背景や理解の状況に応じて、講義担当者が適切に決める。一五回目はフィードバックとする。
中国近代の男性性
纏足
断髪
女性兵士
軍事訓練
スポーツ
国家表象の身体化
冒険・探険
毛沢東の水泳と文化大革命

中砂明徳 アジュダ文書を通じてみた17世紀のマカオ

(授業の概要・目的)
現在アジュダ図書館には、かつてマカオのイエズス会が保存していた文書の写しが存在し、17世紀のマカオを知るうえで貴重な史料源となっている。この授業では、まずマカオ関係史料に関する先行研究を整理したうえで、アジュダ文書を用いて17世紀前半とくに1620年代後半から30年代前半にかけてのマカオにおけるイエズス会の活動、日本の「殉教」者顕彰、中国政府との交渉などにについて論じる。

(授業計画と内容)
1、導入。マカオとアジュダ文書
2、マカオのコレジオ
3、ベトナム布教
4、日本の殉教者たち
5、各修道会の対立
6、ペドロ・モレホン
7、巡察師:ジェロニモ・ロドリゲス
8、巡察師:アンドレ・パルメイロ
9、北京への使節
10、徐光啓とマカオ
11、地方当局との交渉
12、ドミニコ会士の中国入り
13、市民
14、教会
15、フィードバック

浅原達郎 中国古代の暦(干支紀年をさかのぼる)

(授業の概要・目的)
中国古代の年の数え方がどうなっていたかを考える。

(授業計画と内容)
六十干支で年を数える干支紀年をさかのぼると,中国古代の歳星紀年法に行きあたる。そこでは,木星の運行が関わり,また,出土した文書が貴重な情報をもたらす。だいたい紀元前四世紀中ごろから紀元前二世紀終りごろまで,戦国時代中ごろから前漢中ごろの中国が話題となる。
第1回 講義の概要,紀年とは
第2回 六十干支と干支紀年
第3~4回 歳星紀年と新城新蔵氏の研究
第5回 馬王堆漢墓
第6~7回 帛書刑徳と帛書五星占
第8~9回 漢元年の惑星集合
第10回 太初元年前後,現在の干支紀年へ
第11回 古天文学とハイパーカード
第12~15回 おまけの時間-中国古代の暦の十年

吉本道雅 孔子とその時代

(授業の概要・目的)
孔子(552/551-479BC)伝復元の試みには、今日に至るまで膨大な蓄積があるが、実のところ『史記』孔子世家の記述を恣意的に取捨選択するものであったに過ぎない。これらの研究は先秦時代の歴史的実態および『史記』の編纂上の特徴に対する理解が決定的に不十分であった。このような批判的視点に立ちつつ、春秋時代後期の歴史を概観し、『史記』孔子世家を解析することで、孔子伝復元の可能性を追求する。

(授業計画と内容)
以下の項目を逐次論ずる。
第1回~第2回 孔子伝の推移
第3回~第6回 春秋後期の魯
第7回~第10回 『史記』の編纂上の特徴
第11回~第15回 孔子世家の批判的分析

*フィードバック方法は授業中に説明する。

古松崇志 中国石刻史料の研究

(授業の概要・目的)
中国史研究において、石刻史料はきわめて重要な史料群である。本講義では、中国本土およびその周辺の石刻史料を取り上げ、歴史研究に利用するための手法を、実際に受講生が史料(京都大学人文科学研究所所蔵の拓本実物を含む)を読み解きながら学んでいく。

1.ガイダンス(1回)
2.石刻史料釈読(13回)
3.まとめ(1回)

※釈読する石刻史料は、担当者の専門分野の契丹(遼)・宋・金・元(モンゴル帝国)時代のものを中心に取り上げる予定だが、適宜受講生の関心に応じた史料を読むことも検討している。また、担当者が勤務する京都大学人文科学研究所所蔵の拓本を実見する機会を設けるほか、できるだけ拓影(拓本の写真)のあるものを用いるが、典籍文献(伝統的な石刻文献や地方志、文集など)のみに載せられているものも適宜取り上げる。

辻正博 隋唐国制の歴史的意義

(授業の概要・目的)
 古代日本のいわゆる「律令制」成立に大きな影響を与えた隋唐王朝の国制は、中国史上どのように位置づけられるのか。本講義の目標は、それを明らかにすることである。この問題を解明することにより、秦漢帝国あるいは宋王朝との相違についても新たな理解が得られることと思う。

(授業計画と内容)
以下のテーマについて、およそ2~3週を目途に講義を進める。
1.ガイダンス……学期の授業計画および講義で必要とされる諸事項について説明する
2.官制……秦漢~魏晋南北朝時代における官制の変遷。隋唐王朝の官制の特徴
3.法制……隋唐律令の淵源。唐律の特徴。唐令復原研究について
4.礼制・楽制……隋唐王朝の礼制・楽制の淵源
5.税制……隋唐王朝の税制とその淵源
6.兵制……隋唐王朝の兵制とその淵源
7.まとめとフィードバック

江田憲治 中国近現代「史料」研究

(授業の概要・目的)
本授業では、東アジア、とくに中国の政治制度や思想を対象領域とし、研究論文・研究書、一次史料を素材としたゼミ形式の授業を行う。
 先行研究の取り扱いや一次史料の収集・利用についての必要な陶冶を行い、研究発表の訓練を行うことが目的である。

(授業計画と内容)
①ガイダンス
②中国現代政治史概説
③中国現代政治史についての研究紹介 
④研究論文・研究書を素材としたゼミ
⑤研究論文・研究書を素材としたゼミ
⑥研究論文・研究書を素材としたゼミ
⑦研究論文・研究書を素材としたゼミ
⑧一次史料を素材としたゼミ
⑨一次史料を素材としたゼミ
⑩一次史料を素材としたゼミ
⑪一次史料を素材としたゼミ
⑫一次史料を素材としたゼミ
⑬一次史料を素材としたゼミ

太田出 中国近世フィールドワーク論

(授業の概要・目的)
近年、歴史学ではあまりに多くの歴史文献が研究者の眼前に提供されたこともあり、歴史文献の閲覧・読解・分析にこれまで以上の長時間を費やさざるをえなくなってきた。また一方で、交通手段の発達やグローバルな研究の展開とも相俟って、フィールドワークもかつてほど困難なものではなくなってきた。こうした事態を前提として、旧来の学問的枠組みに囚われない新たな取り組みが求められ、学問横断的な手法や研究視角を身につけることが迫られるようになってきている。本授業では、現代中国の農漁村を事例として、歴史文献とフィールドワークから農漁村の実態を明らかにしていくとともに、その手法を詳細に解説する。受講生には、歴史文献の分析と、自分の足で歩くフィールドワークとを融合させる方法について身につけてもらいたい。

(授業計画と内容)
第1回:ガイダンス
第2回:どうして中国の農漁村を歩くのか
第3回:フィールドワークに行く前に――近世~現代の文献史料を読み込む
第4回:いざ中国の村へ!――順調にフィールドワークを始めるために
第5回:担がれる神々――神々の系譜を追う(1)
第6回:担がれる神々――神々の系譜を追う(2)
第7回:村のなかの「村」の名残――村の歴史をたどる(1)
第8回:村のなかの「村」の名残――村の歴史をたどる(2)
第9回:水上に住む人びと――太湖流域に漁民たちをたずねる
第10回:押し寄せる漁民たち――「網船会」に集まる人びと(1)
第11回:押し寄せる漁民たち――「網船会」に集まる人びと(2)
第12回:陸に上がらされる漁民たち――変わる漁民の生活(1)
第13回:陸に上がらされる漁民たち――変わる漁民の生活(2)
第14回:あなたたちは「九姓漁戸」ですか?――近世の被差別民との遭遇
第15回:おわりに

承志 マンジュ語『内国史院档』の研究

(授業の概要・目的)
マンジュ語『内国史院档』は、ダイチン=グルンの成立の歴史を研究する上で最も重要な原典史料であり、ジュシェン(女真)人のマンチュリア支配から中国本土支配への移行期の歴史を正確に把握するためにも必読の基本史料である。この授業では、マンジュ語の原典に基づいて文献解説と講読を行う。初回の授業では世界におけるマンジュ語史料の保存状況と研究の実態、必要な辞典類・目録・索引・史料集および主なマンジュ語史料のデジタルデータなどを紹介する。最終回ではまとめを行う。2-13回の授業では史料の読解、参加者との質疑・討論を行う。

(授業計画と内容)
第1回 イントロダクション
第2回 『内国史院档』の研究史とその内容
第3回~14回 『内国史院档』の読解
第15回 まとめ

矢木毅 朝鮮史詳説(中世篇2)

(授業の概要・目的)
朝鮮半島に成立した高麗国(918~1392)の歴史を概観し、政治・社会の特質について考察する。漢文史料の読解能力を高めるとともに、東アジア世界(特に中国)の歴史とも関連づけながら朝鮮史の理解を深めることを目的とする。

(授業計画と内容)
第1講 高麗史の時代区分
第2講 武臣政権の成立
第3、4講 武臣政権の展開
第5、6講 モンゴル軍の侵攻
第7、8講 武臣政権の崩壊
第9、10講 元寇の背景
第11、12講 事元期の王権
第13、14講 元明の交替と高麗
第15講 まとめ(史料講読)

岩井茂樹 近世東アジアの交易と外交 Ⅲ

(授業の概要・目的)
中国が近隣地域と交易するさい、安全保障と徴税の確保のため、官府がこれを管理しようとした。宋代以降の市舶司、清代の海関はこの目的を果たすために設置された。また、周辺の諸国においても、対外交易を管理する制度が整備されていった。この講義では、このような交易制度に関係する資料を読み解きながら、制度変遷の過程を考察する。さまざまな時代の資料についての知識と、それを解読する技能とを高めるとともに、交易の制度や商人の活動、および外交との関わりなどについて、歴史的な理解を深めることを目的とする。
前期の授業では,明の洪武年間の朝貢と海禁との関係を対象とする。

(授業計画と内容)
1.明の建国と使節の派遣、洪武帝の詔敕、使節による交渉(第1~5週)
2.日本との交渉、仏僧の派遣、室町幕府の対応(第6~10週)
3.皇帝儀礼と対外関係(第11~15週)

講義内容【演習】

高嶋航 梁啓超『飲冰室合集』選読

(授業の概要・目的)
梁啓超の文集『飲冰室合集』から重要な文章を選読する。

(授業計画と内容)
初回はガイダンスで二回目から読み進める。前期は「自由書」から読む。近代漢文を読解し、日本や西洋の影響を読み取ることを心懸ける。 一五回目はフィードバックとする。

中砂明徳 外国語論文のレビュー

(授業の概要・目的)
 この授業では、受講者が自らの関心にしたがって外国語(受講者にとっての外国語。英語でも、中国語でも、他の言語でもよい)の論文を選んで、その内容を紹介するととともに、その論文の学界における位置づけを参加者(講師も含む)にわかりやすいように行う。
 かつては、言語ごとに論文のスタイルはずいぶん異なっていた。現在でも、日本語、中国語、英語それぞれ特有の「癖」は存在するが、英語論文の影響により、かなり平準化してきている。外国語論文を読むことで、ある種のスタンダードを知るとともに、その問題点を個々の受講者が感じ取るようになれば、この授業の目的は達成される。

(授業計画と内容)
1回 全体の趣旨説明
2~14回 受講者が1回分を担当する。時間の半分を論文の紹介、評にあて、残り半分の時間で、出席者全員による質疑応答を行う。受講者の数が少ない場合には、適宜受講者自身の研究発表の場を設ける。
15回 フィードバック

中砂明徳 『明清档案』

(授業の概要・目的)
中央研究院が刊行中の『明清档案』に収録されている清朝順治年間の文書を読み、中国制圧の過程を清朝サイドから見てゆく。明清の王朝交代は、日本では「華夷変態」として、またヨーロッパでも宣教師によってそのニュースが紹介されるなど、大事件として受けとめられていた。しかし、明末清初の動乱に関する歴史記述とそれを承けた研究は、満州人王朝の世界史的意義が強調されるようになった今日においてもなお「敗者」の側に片寄りすぎている。あらためてこの史料集を読むことで、勝者の視点から冷静に支配確立の過程を見てゆきたい。
 今年は順治五年(1648)前半の档案を読む。清朝支配の試行錯誤の過程を、文書を通じてたどってゆく。

(授業計画と内容)
1回『明清档案』のテキストの性格を説明し、昨年読んだところについて言及しながら、順治元年~四年にわたる政治情勢について解説する。 1コマにつき一本を読む予定。
2~14回でとりあげる予定の档案のテーマは以下のとおり。
「賊情」「蓄髪」「盗水」「坊刻(民間出版)」「妖教」「通逆(逆賊に内通)」「回賊」など。
15回 フィードバック

村上衛 在中国イギリス領事報告を読む

(授業の概要・目的)
 中国近代の社会・経済に関する英文史料を精読する。英文史料を読むことによって、イギリス人などの外からの目を利用しつつ、中国近代社会経済史に対する理解を深める。

(授業計画と内容)
 イギリス外交文書のうち、在中国イギリス領事の報告(FO228)を精読する。具体的には、中国における華人関係の紛争など、主として社会に関わる紛争を取り上げる。必要に応じてFO228に含まれている英文史料に対応する漢文史料も読む。なお、史料は非常に細かい内容のものが多いため、講義形式の解説を加え、史料を中国近代史の中に位置づけていく。
 初回は史料についての解説を行い、2回~14回は担当者を決めて史料を読み進めていく。15回は読み進めた部分までの内容を振り返る。

吉本道雅  『春秋左伝正義』

(授業の概要・目的)
十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を輪読する。

(授業計画と内容)
前期の続き。魯の年代記の形式を採る『春秋』と、その注釈書の形式を採る『左伝』は春秋時代を研究するための基本的な資料である。『春秋』『左伝』の成立過程については今なお活発な議論が進行中である。『左伝』には、西晋・杜預の『春秋経伝集解』、唐・孔頴達の『正義』が附されている。本演習では『正義』を精読することで、漢文を文法的に正確に読解する能力を養うとともに、『正義』の引用する唐代以前の諸文献を調査し、また『正義』の論理構成に習熟することによって、経学の基本的な方法論を理解する。また、先秦期の文献・出土資料を全面的に参照することによって、『春秋』『左伝』の成立過程についても考察し、先秦史研究の資料学的素養を身につける。
第1回~第14回 『春秋左伝正義』の輪読
*フィードバック方法は授業中に説明する。

吉本道雅  中国古代史史料学

(授業の概要・目的)
銭穆『先秦諸子繋年』を輪読し、関連史料・研究を批判的に検討する。

(授業計画と内容)
前期の続き。従来の戦国史(453-221BC)研究は、戦国後期の秦史に偏しており、戦国前・中期や六国については、資料の絶対量の乏しさに加えて、『史記』紀年の混乱が、歴史的推移の時系列的把握を困難にしてきた。1990年代以降の戦国楚簡の出現は、とりわけ思想史的研究を活発化させているが、かえって文献に対する研究の立ち後れを露呈させている。本演習では、銭穆『先秦諸子繋年』(香港中文大学、1956)を輪読し、関連史料・研究を批判的に検討することによって、中国古代史研究に関わる文献・出土文字資料・考古学的資料の運用能力を向上させる。
第1回~第15回 『先秦諸子繋年』の輪読
*フィードバック方法は授業中に説明する。