展示コーナー・書庫見学
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展示コーナー
入口正面の通路脇に2台の展示ケースを並べ、6点を展示しました。
『源氏物語』
書庫見学(1) A書庫
A書庫では図書館の概要についてお話がありました。
文学研究科図書館の蔵書数は約110万冊と学内最大です。現在もその規模は拡大し続けています。
当館では図書を29の専修ごとに分けて配架しています。
書庫見学(2) B書庫
B書庫には国文学、言語学の図書や修士論文・博士論文があります。
当館では和本を普通図書として扱っています。和本とは和紙を糸で綴じた本や巻物など現在の装丁とは異なる本のことで、他の図書館では貴重書扱いとなっていることが多くなかなか目にする機会はありません。しかし普段から原本に親しみ、実際に手に取って初めてわかる本の価値を知ってもらおうとこのように配架しています。
今回、江戸時代の写本『古今和歌集』(配置場所:国文, 請求記号:EcI||5)を実際に手に取って見てみました。内容の価値判断の一助となる本の重さや、『伊勢物語』の序文が書かれた反故紙が裏表紙の補強に貼られているなど、実物を手に取ってみなければわからない情報について体感していただきました。
書庫見学(3) D書庫
D書庫には中国文学・中国哲学史の漢籍(古い糸綴じの本)が多数あります。こちらも一般の図書と一緒に配架され、学習・研究活動に役立てられています。
書庫見学(4) 特殊文庫
当館では文学研究科元教授や関係深い方の旧蔵書などを特殊文庫として受け入れています。
そのうち京都学派の祖であり、『善の研究』で有名な西田幾多郎博士(哲学)の図書 “Allgemeine Einführung in die reine Phänomenologie” (配置場所:哲学, 請求記号:西田幾||2E||120)を閲覧すると、蔵書印や、何度も読み返し書き込みをした跡がありました。
こういった資料を手沢本といいますが、その痕跡から読み手の解釈・読み方を知ることができるため非常に貴重です。
また西田先生の手書き原稿のコピーを閲覧しました。(原本は貴重書)
手書きの原稿には研究者の個性が出ます。文学や哲学、歴史研究では人によって考え方や解釈が異なりますが、そこが文系の学問が理系の学問との差であり、面白いところです。
書庫見学(5) C書庫
C書庫には、入って左側に文学に関する図書、右側に哲学に関する図書が並んでいます。
ここでは仏文学専修の田口紀子先生に「生理学シリーズ」と呼ばれるフランスの本についてご紹介いただきました。
「生理学シリーズ」とはさまざまな事物について面白おかしく書き記したカリカチュア(戯画)で、娯楽本として1830年ごろのフランスで流行しました。”Physiologie de l’homme de loi“=「弁護士の生理学」 (配置場所:仏文研, 請求記号:GA||1026) には法律に関わる人の性質が取り上げられており、著者であるun homme de plume=羽ペン男とはフランスの文豪バルザックの偽名です。このように、シリーズの中には著名な小説家によるものも含まれています。
このような娯楽本には翻訳書がないため、自力で読まなければ楽しむことができません。しかし逆に言えば、勉学に励み教養と語学力を身に着けることで、本を読む楽しみはますます広がっていくのです。
書庫見学(6) F書庫
F書庫には歴史学に関する図書を納めています。
ここではまず東洋史学の線装本(糸綴じの古典籍)『古今圖書集成』(配置場所:東洋史, 請求記号:CXI||A||1)を閲覧しました。この本の小口には「明倫館蔵常典」と書かれており、ここから書物の伝来を知ることができます。書物それ自体に伝来の歴史があり、それは実物を手に取ってみなければわかりません。
書庫見学(7) F書庫
引率の井谷先生のご専門である西南アジア史学は専門家が少なく、また言語も馴染みのないものです。そのため翻訳書なども少なく、自力で原語を読まなければなりません。
西南アジア関連の図書は多くはありませんが、京都大学には未だ開かれていない分野の学問をやってみようという意欲的な研究者がおり、その長年の蓄積で現在の当館の蔵書が構築されています。
どんな研究でも、積み重ねていくことで見たことのない世界が見えてくるのです。
書庫見学(8) G書庫
G書庫には考古学に関する図書が並んでいます。全国から寄贈されている発掘調査報告書など他に類を見ないほど豊富な資料が揃っており、学外からも多数のご利用があります。