講義案内

 

陽光に輝くステンドグラス(サント・シャペル)

講義案内(平成28年度)

後期 独書講読(藤井俊之) 後期 仏書講読(小川佐和子)

 

前・後期 英書講読(佐藤夏樹)
後期 特殊講義(伊藤順二)

前期 英書講読(徳永悠)

後期 英書講読(北村直彰)

演習Ⅱ(山辺規子)

 

西洋史学実習(南川・小山・金澤)

後期 特殊講義 小関隆

卒論演習(演習Ⅴ)

 

後期 特殊講義(南川高志)

 

前・後期 露書講読(伊藤順二) 前・後期 特殊講義(藤原辰史) 大学院演習
後期 特殊講義(金澤周作) 前期 特殊講義(小関隆)

前・後期 特殊講義(高橋宏幸)

前・後期 イタリア語講読(村瀬有司)

後期 特殊講義(岩崎周一)
前期 特殊講義(佐藤昇) 前期 ポーランド講読(小山哲) 通年 講義(小山哲)

前・後期

特殊講義(王寺賢太)

演習Ⅰ,,

◇講義内容【講義】

 

    • 【通年】 小山哲  西洋史学序説

<授業の概要・目的>

ヨーロッパ世界では、歴史をどのように認識してきたのであろうか。また、歴史を研究する視角や方法は、時代の変化にともなって、どのように変化してきたのであろうか。この講義では、古代から現代までのヨーロッパにおける歴史認識の歴史を、各時代の全般的な状況をふまえながら概観し、それぞれの時代の歴史叙述の特徴や、歴史研究の方法をめぐる議論を紹介する。本講義をつうじて、古代から現代にいたるヨーロッパ史の流れを把握するとともに、西洋世界における歴史認識の特徴についての理解を深め、「西洋史学」という学問分野の歴史的特質と今日的課題について考える素材を提供することを目標とする。

◇講義内容【特殊講義】

    • 【前期】 南川高志  ローマ帝国の成立に関する政治史的・社会史的研究

<授業の概要・目的>

ローマ帝国は古代世界に数多く現れた「帝国」の中でも、東洋の秦漢帝国とともに、中央集権的な統治組織や高度な制度と高い文化を有していた点で世界史上第1級の意義を持ち、後世に現れた数多くの「帝国」のモデルとされてきた。本講義では、このローマ帝国という重要な国家がいかにして成立したかを、政治史と社会史の両面から講述する。
まず、西洋史学界において「帝国」がどのように論じられてきたか、とくにローマ帝国が如何に解釈されてきたかを紹介する。その際、専門研究者による学説だけでなく、近現代の欧米で見られた一般的なローマ帝国のイメージや記憶も取り上げながら、ローマ帝国成立論を論じるための基礎を固めることとする。次いで、共和政ローマ国家がイタリアを支配下に入れた紀元前3世紀前半から説明を始めて、紀元前2世紀の後半にローマという名の「帝国」が「成立した」と見なせる事態に至るまで、歴史の展開を詳述する。さらに、ローマ皇帝政治の出現までの経過を説明する。ローマ帝国が成立したのはローマがまだ共和政体をとっていた時期であるが、その後帝国が「完成した」といってよい紀元後2世紀までの経過の中で、皇帝の出現は政治史上きわめて重要な画期をなす。このローマ皇帝の出現についても、ローマ帝国の「完成」に至る過程に位置づけて捉えてみたい。

 

    • 【後期】 南川高志  ローマ帝国の完成と変容に関する政治史的・社会史的研究

<授業の概要・目的>

 ローマは共和政の政治体制をとっていた紀元前2世紀の後半に「帝国」と呼べる強大な国家になった。その後、国内の政争を経て、紀元前1世紀の終わり頃にはただ一人の実力者による政治体制、すなわちローマ皇帝政治を生み出したが、帝国としてのローマの拡大はさらに継続し、紀元後2世紀に「帝国が完成した」と解される域に達した。本講義では、世界史上に第1級の意義を持つローマ帝国について、その巨大国家の完成への過程とその後の変質を詳述する。
講義では、まず帝国化したローマ国家がローマ皇帝を生み出すに至った経緯を説明する。ローマ皇帝が誕生してローマが帝国となったのではなく、ローマが帝国になってローマ皇帝を生み出したという事情を解説することになる。次いで、皇帝政治とはどのようなもので、共和政からどのように変化したのか説明する。さらに、皇帝政治の発展期から安定期をなす紀元後1~2世紀について、政治と社会の性格を説明する。最後に、2世紀、いわゆる五賢帝時代に実現した政治的安定がいかにして崩壊していったのを解説する。
以上のような講述によって、ローマ帝国という世界帝国が、その完成時においていかなる性格の構造体であったのかを提示し、後世の数々の帝国の範となった古代帝国の歴史的特質を明示する。

 

    • 【前期】 金澤周作  ヴィクトリア期イギリスにおける知識人とチャリティ 

<授業の概要・目的>

近世のイギリス哲学において、慈恵(benevolence)は重要な概念であったが、19世紀になると、思想ではなく実践としての慈善(charity)や博愛(philanthropy)が、現実の社会問題に対応して隆盛をきわめたとされる。それでは、慈善や博愛は、当時の知識人たちにとって、もはや思想課題ではなくなったのであろうか。本講義では、このような問題意識の下、トマス・マルサス、トマス・カーライル、ジョン・スチュアート・ミル、ジョン・ラスキンらの作品の中にみられる慈善や博愛に関する言及に着目して、これを同時代の具体的な救済の現実や「常識」に照らし合わせる形で検討してゆく。

 

    • 【後期】 金澤周作  長い18世紀のイギリスと北アフリカ――拿捕・難破・捕囚

<授業の概要・目的>

経済史では、18世紀の初頭からイギリスの地中海貿易の比重が低下して大西洋ならびにインド洋での貿易が伸長したとされ、政治史でも、同じ頃のイギリスにとって重要な圏域は地中海域から北米・西インドおよび東インドに移っていったとされる。しかし本講義では、地中海の重要性を、別の観点から喚起したい。すなわち、長い18世紀を通じてイギリスの人々にとって不安の的であった北アフリカに着目し、この地とイギリスの関係史を、拿捕と海難というリスクを切り口にして再検討する。

 

    • 【前期】 伊藤順二  末期ロシア帝国と南カフカス

<授業の概要・目的>

 19世紀後半から第一次世界大戦までのロシア帝国の南カフカスにおける植民地政策と現地住民の活動を概観する。
南カフカスはロシア帝国初の本格的植民地であり、オスマン帝国との最前線の一つだった。住民に対する民族学的視線は帝国の統治政策に直結すると同時に、「高貴な野蛮人」への文学的憧憬をも産み出し、それはグルジア人などの現地住民にもフィードバックされた。バクーの油田は帝国の重要な資源となると同時に、労働運動や民族運動や宗教的改革運動を隆盛させ、多国籍企業を誘致し、ロシア・コスミズムの進展にも大きな影響を与えた。本講義では南カフカスという場がもつ歴史的意義を考えることで、ロシア帝国に対する総合的理解にも道を拓きたい。

 

    • 【後期】 伊藤順二   ロシア革命と南カフカス

<授業の概要・目的>

 南カフカスは「東部戦線」と並んでロシア帝国の最前線だった。グルジアの社会主義者やアルメニアやアゼルバイジャンの民族主義者のほとんどは、第一次世界大戦開戦に際し、帝国の戦争に全面協力した。帝国の中心における革命は彼らにとって予期せぬ事件だったが、さまざまな構想を一気に開花させる力となった。本講義では南カフカスにおける戦争と革命の経緯を総合的にたどりつつ、ロシア革命なるものの影響力を再考したい。

 

    • 【前期】 小関隆  アイルランド革命(1913~1923年)

<授業の概要・目的>

今年度の授業では、1913~1923年の時期のアイルランドに生じた重大な変化を「アイルランド革命」と捉え、内戦の危機、第一次世界大戦、イースター蜂起、独立戦争、内戦、といった出来事を「革命」という一続きのプロセスの中に位置づけて考察する。「2つのアイルランド」を誕生させた「革命」には、現在に至るアイルランドの歩みを決定づける意味があった。行論にあたっては、アイルランドとイギリスの関係のみならず、アメリカやドイツの情勢にも留意する。

 

    • 【後期】 小関隆  サッチャリズム序説

<授業の概要・目的>

第二次世界大戦以降、保守党か労働党かを問わず、歴代の政権が共有した「コンセンサスの政治」に終止符を打ち、ネオ・リベラリズムを基調とする政策を精力的に遂行したサッチャー政権の時代(1979~1990年)は、イギリス現代史上の決定的な転換期であった。サッチャーが退場して四半世紀以上が経過したが、依然としてイギリスはサッチャリズムが定めた方向性から脱却できていない。今年度の授業では、サッチャー政権の主要な政策を検討しながら、今も残るサッチャリズムの刻印を検証する。

  • 【前期】 佐藤昇 古典期アテーナイにおける討議型民主政とレトリック

<授業の概要・目的>

古典期のアテーナイは、民主政の制度を整えていったばかりではなく、演説と説得という討議を経て政策決定を行う政治文化を成立させ、その技術や文化を深化させていった。本講義では、古典期アテーナイの民衆法廷や民会で行われた演説とそこで用いられた修辞技術(レトリック)に注目し、演説が行われた「場」や環境、背景となる社会的現実との関係について詳細な分析を加え、古代ギリシアの民主政において発達した討議文化の実態について理解を深めることを目的とする。

  • 【後期】 岩崎周一 近世ハプスブルク君主国の世界

<授業の概要・目的>

近世(おおよそ16-18世紀)におけるハプスブルク君主国の政治・社会・文化のありようについて、同時代のヨーロッパ諸国・諸地域との比較考察を絡めつつ、具体的・多面的に講義する。近世ハプスブルク君主国の探究を通し、「近代化」「国民国家」の桎梏から距離をおいて、ヨーロッパ世界の多彩な歴史的諸相についての理解を深めると同時に、現代世界を見る目を豊かにすることを目的とする。

 

◇講義内容【集中講義】

本年度は開講されない。

 

◇講義内容【演習】

    • 演習Ⅰ  西洋古代史演習 (南川高志)

<授業の概要・目的>

この授業は、ギリシア・ローマ史を中心とする西洋古代史の研究を本格的におこなう能力を養成することを目的とする。外国語で書かれた研究文献を用いて、欧米学界の水準や史料の扱い方を学ぶとともに、欧米の研究の問題点をも理解し、受講者自身の研究の深化に繋げることが課題である。

 

    • 演習Ⅱ  西洋中世史演習 (山辺規子)

<授業の概要・目的>

この授業は、西洋中世史に関して、基本的な概念や論点、最近の研究動向について認識し、報告と討論を通じて研究を進める能力を養う。受講生が関心をもつ英語論文(原則としてJournal of Medieval HIstoryから選ぶ)については担当者が報告し、それをもとにして全員で討論をおこなう。また、報告者の研究関心に沿った報告をおこない、総合的研究遂行能力を身につける。

 

    • 演習Ⅲ  西洋近世史演習 (小山哲)

<授業の概要・目的>

近世(16~18世紀)のヨーロッパ史にかんする欧米の比較的新しい研究文献を読解し、また、個別の論点について討論することをつうじて、近世ヨーロッパにかんする基本的な知識を身につけると同時に、最近の研究動向や研究史上の争点についての理解を深めることを目指す。

 

    • 演習Ⅳ  西洋近代史演習 (金澤周作)

<授業の概要・目的>

この演習では、西洋の近代(18世紀半~20世紀初頭)を主体的に探求するのに必要な作法を学ぶ。そのために、まとまった分量の欧米の研究文献を精読することと、個別の自由発表を行うことを課す。

    • 演習Ⅴ  卒論演習 (南川・小山・金澤)

<授業の概要・目的>

卒業論文の研究テーマについて、参加者が中間報告をおこない、教員3名と受講者の全員で討論する。研究報告と討論を通じて研究テーマに関する理解を深めるとともに、研究を進める上での問題点を認識し、卒業論文の完成度を高めることを目標とする。西洋史学専修4回生は必修。

    • 大学院演習 (南川・小山・金澤)

<授業の概要・目的>

この授業では、受講する大学院生が各自の専門研究の成果を発表し、授業に参加する院生・教員全体でその発表にかんして問題点を指摘し議論する。本演習をつうじて、受講者の大学院における研究の発展に資するとともに、西洋史上の様々な時代・地域にかかわる研究テーマ、研究の視角や手法、史料の特徴とその利用の方法などについて相互に理解を広め、また深める場とする。

◇講義内容【講読】

    •  【前期】独書講読 Ⅰ(藤井俊之)

<授業の概要・目的>

Peter Michelsen: Entgrenzung. Die englische Literatur im Spiegel der deutschen im 18. Jahrhundert. In: Derunruhige Buerger(1990)を読む。
現代への転換点として、ヨーロッパ史上18世紀は重要な意味をもつ。フランス革命をその帰結とする大規模な社会形式の移行期において、ドイツもまたその文化に物質的と精神的の両面にわたって大きな変容を被った。その際、当時後進国であったドイツの人々の意識形成にとって、外国文学の受容は決定的な意味をもつものであった。19世紀以降、ある意味では自国の伝統に充足できるようになるドイツ文化が、自らの足場を固めようとするこの世紀においていかにして自己を作り上げたのか。こうした問題意識をもって、授業では、上に掲げたミヒェルゼンの論文を講読する。ヨーロッパ文学が共通理解を担保するものとしてのラテン語の伝統にいまだ属しながら、それと並行して各国語で著されるようになるこの時期に潜在的な「世界文学」の実現を見るミヒェルゼンの議論を参照することで、ヨーロッパにおけるドイツの特異性(ナショナリズム)と普遍性(世界性)について考えたい。

    • 【後期】独書講読 Ⅱ(藤井俊之)

<授業の概要・目的>

Theodor W. Adorno: Zur Lehre von der Geschichte und von der Freiheit(2001)を読む。自らの足場を伝統的規範に求めることのできなくなった近代以降の市民社会において、それを補うものとして構想された歴史哲学は、人間の進歩を自由のそれと同一視できるものと考えるようになった。こうした歴史把握は、ホッブズやルソーの社会契約説、あるいはカント、ヘーゲルに代表される歴史哲学的構想に示されている。しかし、20世紀の二つの世界大戦に直面した人々にとって、人間の歴史が必然的に自由を実現するという考えは、無批判に受け入れることのできないものになってしまった。今回取り上げるテクストの著者アドルノは、ユダヤ系の出自の故に第二次大戦中は故国を追われた亡命知識人の一人であり、彼もまたこうした一致を単純に認めるわけにはいかなかった。授業では、彼の講義録(1964/65)を講読することで、20世紀以降の現在において、歴史の必然性と人間の自由の一致をどのように考えるべきかについて理解を深めたい。

    • 【前・後期】露書講読 (伊藤順二)

<授業の概要・目的>

19世紀の評論の読解を通じて、ロシア語の一般的能力、および特に評論的・論文的な文章の読解力を向上させる。

 

    • 【前期】ポーランド語講読 (小山哲)

<授業の概要・目的>

ポーランド語で書かれた歴史書を精読することをつうじて、ポーランド語の読解力の向上を図るとともに、歴史研究や歴史叙述にかかわる概念や語彙についての理解を深めることを目標とする。

 

    • 【前期】仏書講読    (小川佐和子)

<授業の概要・目的>

フランス語の初級文法を習得した、あるいはそれ以上の語学力を持つ学生を対象として、フランス語で書かれた映画史文献や批評記事を読んでいきます。フランス語の読解力の向上を図るとともに、映画史・映画理論研究にかかわる方法論についての理解を深めることを目標とします。また映画作品の分析を行い、文化史的背景についての知識も深めます。

 

    • 【後期】仏書講読    (小川佐和子)

<授業の概要・目的>

この授業では、1925年の大作フランス映画『レ・ミゼラブル』(アンリ・フェスクール監督、サイレント映画)の字幕翻訳を行います。大正15年に『噫無情』という邦題で日本封切され、多大な人気を博した作品です。1912年以来、『レ・ミゼラブル』は世界中で何度も映画化されていますが、フェスクール監督版は、数あるレ・ミゼラブル翻案映画のなかでも最もよくヴィクトル・ユーゴーの原作の雰囲気を伝え、映画作品としても芸術的な質の高い作品です。5時間に及ぶ長編劇映画の字幕の翻訳を通じて、フランス語の読解力の向上をはかるとともに、文学と映画をめぐるアダプテーションの問題や同時代のフランス映画史・フランス映画理論についての理解も深めていきたいと思います。

◇講義内容【実習】

    • 西洋史学実習

<授業の概要・目的>

 この授業は、学生が西洋史の卒業論文を作成するために必要となる研究能力を、知識と技術の両面から身につけることを目的に開講する。具体的な史料(外国語)の分析法、研究情報の収集手順から西洋史研究の方法論や史学思想、さらには論文における議論の作法まで、具体的に学ぶ。

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