Version 1.1 2010/1/4 特別研究員 福本拓 著

目次

1.校閲モードの利用

通常,論文を書いていく上で,書き直しをしないということはありえません。自分の納得いくまで構成を練ったり段落構成を入れ替えたり,文字表現を改めたりします。学会誌に投稿する場合は,さまざまな修正要求を編集委員会から出され,それに応えるべく論文の手直しをするわけです。つまり,

よい論文を作るには,修正過程が不可欠

といえます。紙ベースで論文を書いていれば,朱書で訂正箇所を書き込んでいったりすることが多いですが,Wordで修正をしようとしても(元の文書を残しておかない限り),一度削除してしまった文章を見返すことができないのです。そのため,通常のWordの使い方では,新たな文書・表現が元の文書・表現と見比べて適切かどうかの判断ができません

そこで,Wordには,修正過程を記録する「校閲モード」が設けられています。一端完成した文書をよりよいものにするために活用していただきたい機能です。

(1)校閲モードの表示方法

校閲過程を記録したい文書を開き,メニューバーの「ツール」⇒「変更履歴の記録」をクリックします。これだけでOKです。そうすると,横長の「チェック/コメント」ツールバーが表示されます。

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≪POINT≫「チェック/コメント」ツールバーが表示されない場合は,メニューバーの「表示」⇒「ツールバー」⇒「チェック/コメント」を選択してください。


「校閲モード」にしておけば,文字・文書の削除や書体の変更のほか,新たに挿入された文字が(通常)赤色で表示されるようになります。

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上図では,@は文書中のある文字群を削除した場合,Aは文字を削除した箇所に文言を追加した場合,の例です。点線の左の先にある▼の箇所と,右側のバルーンが対応しています。



《POINT》校閲モードを終了したい場合は,再度,メニューバーの「ツール」⇒「変更履歴の記録」をクリックします。


■吹き出しの利用

校閲の結果は,上図のようにページの余白部分に表示される方式のほか,余白に表示せず本文中に表示させる方式もあります。切り替えは,「チェック/コメント」ツールバーの「表示」⇒「吹き出し」をクリックし,「使用しない」を選択して行います。すると,変更履歴のバルーンが消え,変更部分が本文中に表示されるようになります。

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(2)変更の承諾

校閲モードでは,加筆・消去・変更された記録は,ユーザーが承諾しない限りそのまま残ります。ある程度書き進めて,変更を残しておく必要がなければ,変更を承諾してください

変更を承認するには,赤字の部分にカーソルをあわせるか,またはバルーンをクリックして,「チェック/コメント」ツールバーの「変更の承諾」ボタンから「変更の承諾」を選択します。文書中の全ての変更を承認したい場合は,「ドキュメント内のすべての変更を反映」を選択すればOKです。

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《POINT》変更を取り消したい場合は,該当の場所にカーソルを合わせるorバルーンを選択し,「チェック/コメント」ツールバーの「変更の削除」ボタン⇒「変更/削除コメントを元に戻す」を選びます。


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(3)変更を残したまま,校了されたバージョンを確認する

いったん,変更を全て反映させた文書を確認したくても,まだ変更履歴を残しておきたい場合というのも往々にしてあります。Wordでは,変更履歴を保持したまま,「見た目だけ」変更が反映された状態にすることができます。

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「チェック/コメント」ツールバーにある‘最終版(変更箇所/コメントの表示)’を選択し,‘最終版’に切り替えると,履歴は残されたまま変更が全て反映された文書が表示されます。修正結果を反映した文書を印刷する際などに活用してください。

※図中で使用されたWord文書は,福本拓「1920年代から1950年代の大阪市における在日朝鮮人集住地の変遷」『人文地理』56巻2号,2004年,pp.154-169,の著者原稿です。